【「陸王」それぞれの覚悟】役所広司61歳の挑戦 体力のある今、最後の頑張りを

[ 2017年10月25日 08:40 ]

TBS「陸王」に主演する役所広司。会社存続をかけてマラソン足袋の開発に挑む足袋業者「こはぜ屋」の4代目社長
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 将来の不安に備え、現状を変えようとすれば覚悟に直面する時代。そんな中、15日にスタートしたTBS日曜劇場「陸王」(後9・00)では、経営再建のために立ち上がる主人公の姿が共感を呼んでいる。キャッチコピーは「自分を変える覚悟はあるか」。テーマ通りに連日、真剣勝負の撮影が行われている。出演者、制作者それぞれが抱く覚悟を5日間にわたって聞く。

 主人公の業績が低迷する老舗足袋製造業者4代目社長を演じる役所広司(61)は、15年ぶりの連続ドラマ主演。今作は映画を中心に活躍する俳優が還暦を過ぎて選んだ挑戦だ。

 「体力のある今のうちに、最後の頑張りで、やらせてもらおうと思いました。連ドラは体力的に大変。もっと年を取ればもっと大変になるでしょう」

 02年のフジテレビの時代劇「盤嶽の一生」以来の連続ドラマの現場。役所にとって主戦場となっている映画では、撮影開始前に台本が完成していて出演者の手元に渡っているが、連続ドラマでは撮影が始まってから、台本が出来次第届く。

 「映画は1冊をほぼ覚えてからクランクインしますが、連ドラはどんどん台本が来て、セリフを覚えていかなくちゃいけない。だから、瞬発力が必要」と違いを実感している。

 この15年間は、じっくりと時間をかけて製作する世界に身を置いてきた。それを変える覚悟を決めたのは、新たな出合いだった。

 制作陣からの出演依頼を受け、手に取った原作。「半沢直樹」シリーズで知られる作家・池井戸潤氏(54)の小説に夢中になった。「面白くてあっという間に読みました。そして手掛けるのは池井戸さんの作品をずっと撮っているチーム。“こんなドラマがあったら私も見てみたい”と思いました。池井戸作品の魅力はハラハラドキドキのエンターテインメント。主人公が戦って戦って、のし上がっていく。我々は勇気をもらえます」

 15日放送の第1話は14・7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)の高視聴率。自身も試写会で見た時に強い手応えを感じた。「今、これに出合えて良かった。やって良かったと思います」とすがすがしい表情だ。

 主人公の経営する会社が経営を立て直すため、ランニングシューズの開発に挑む物語。役所自身も演じる者として、変わる覚悟だ。

 「いつも作品に入る時は“今までと違う何かを出したい。変わりたい”と思っています。今回、これだけ長い期間、一つの役と付き合うわけですから、それによって自分が変わっていくと期待しています」と力を込めた。

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2017年10月25日のニュース