「真田丸」大蔵卿局好演の峯村リエ 悪役成功も複雑…三谷氏母も「あの女が…」

[ 2016年12月11日 08:00 ]

「真田丸」で大蔵卿局を演じる峯村リエ(C)NHK
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 人気劇団「ナイロン100℃」の看板女優の1人、峯村リエ(52)がNHK「真田丸」(日曜後8・00)で大河ドラマ初出演。茶々(竹内結子)の乳母・大蔵卿局を好演し、存在感を放っている。主人公・真田幸村(堺雅人)ら牢人衆を疎み「なりませぬ!」を連発。劇団で培った演技力を発揮している。大坂城の砦・真田丸の取り壊しに同意してしまうなど、SNS上で目の敵に。“ヒール役”として成功した証拠だが「やっぱり好かれた方が…」と複雑な心境を吐露した。豊臣方敗北の一因になり「申し訳ない気持ちはあります」と“謝罪”した。

 当初はキャラクター像に戸惑いもあったというが、脚本の三谷幸喜氏(55)による設定は突飛なものだった。「ヒラリー・クリントン、土井たか子、三原じゅん子、井脇ノブ子、(三谷氏や峯村が所属する)シス・カンパニーの北村明子社長の5人を足して5で割ったような感じ」。物言いのキツい、威圧感のある大蔵卿局に納得。「最近はマネジャーに『だんだん社長に似てきたね』と言われます」と笑った。

 劇中、幸村らの意見に反対し、何度も連発する「なりませぬ!」というセリフも、茶々や豊臣秀頼(中川大志)を思うからこそ力が入る。「豊臣の重鎮たちが亡くなっていってしまって、大蔵卿局としては茶々様と秀頼公を守らなければという思いがすごく強いと思うんですね。この2人に少しでも嫌な思いをさせる者がいたら『私は許しません』。そんな気持ちから『私がやらなければ…』という思いが強くなったんだと思います」と解釈した。

 三谷作品への出演は、2014年の舞台「抜目のない未亡人」(上演台本・演出)に続き、2回目。三谷脚本の面白さと難しさに魅了されている。「三谷さんの脚本は間を面白く使うと、本当に面白いですね。普通の言葉なのに、微妙な間で本当に面白くなる台詞が多いと思っています。だから緊張します。せっかくの面白い台詞を活かしたいので」

 とりわけ苦労したのが第47話「反撃」(11月27日放送)で徳川方の使者・阿茶局(斉藤由貴)との和睦交渉に臨むシーン。交渉の雲行きが怪しくなる度に従者として付き添ったきり(長澤まさみ)が「足がつった」と場をかき乱し、そのたびに大蔵卿局は「何をしているのです」とたしなめた。

 「最初はとツッコミの感じでやっていました。しかし『これは違う。こういう面白さじゃないんだ』と思って…。それも微妙なんですよね。微妙な間がハマると凄く面白いんじゃないかと思ったんですけれど、うまくできましたかね」。もちろん手応えもある。ナンセンスコメディーを十八番とする劇団「ナイロン100℃」を引っ張ってきただけに「無表情でコミカルなことを言うような、そういう演技には劇団の経験がとても役立っているんじゃないかなと思います」

 それでも豊臣家を滅亡に追い込む当事者として描かれるだけに、大蔵卿局はインターネット上で“炎上”。中には、第46話「砲弾」(11月20日放送)で大坂城を直撃したカルバリン砲が「大蔵卿局と有楽斎に当たれば」などの“過激”な投稿もあった。キャラクター作りに成功した証しだが「田中正監督から『SNSは見ない方がいいよ』と言われていたんですが、第40話『幸村』(10月9日放送)の後、ちょっと見てしまって…。案の定凄くて、ちょっとヘコみましたね」と苦笑い。

 さらに大蔵卿局の“悪評”は、三谷氏の母親からもお墨付きをもらった。三谷氏から「大蔵卿局が凄くよくなってきています。うちの母が『あの女が一番悪い』と言っていました。大成功ですね」とメールをもらい「(演技の方向性などは)間違っていなかったんだな…」と安心。それでも「やっぱり嫌われるというのはね。役とはいえ…。やっぱり好かれた方がいいですよね」と思わず本音も飛び出した。

 豊臣家を強く思うからこそ、行動が裏目に。「大坂の人に申し訳ないという気持ちはあります。今の大坂城の裏に碑があって、大蔵卿局の名もあるんですが(撮影が終わったら)そこを訪れ『こういう感じで演じさせていただきました』と伝えに行こうと思っています」。後ろめたさもありながら、最後まで精いっぱい“ヒール”として演じ切る。  

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