カナダで太地町捕鯨支持映画上映 観客「勇気ある」、非難も

[ 2015年9月8日 09:20 ]

 和歌山県太地町の捕鯨を肯定的に取り上げたドキュメンタリー映画「Behind“THE COVE”」(ビハインド・ザ・コーヴ)が7日、世界映画祭が開かれているカナダ東部モントリオールで上映された。賛否が分かれる捕鯨問題だけに、観客からは「勇気ある製作」との声が出た。「不公平なプロパガンダ」という非難もあった。

 捕鯨を批判し、米アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞した米映画「ザ・コーヴ」を念頭に製作された。上映後の質疑で監督の八木景子さんは「日本人は(批判されても)言い返さないが、発信すれば理解してもらえる。食文化や宗教の違いを理解しないと戦争はなくならない」と述べ、異文化の尊重を求めた。

 約200人が入る映画館は8割近くが埋まった。八木さんは太地町に長期滞在し、自分で撮影した。捕鯨に批判的な米国やオーストラリアと日本が戦った太平洋戦争などの歴史的背景も加えた。

 最初に質問した現地の女性は「正しく描かれていない」「イルカとクジラは違う」ととげとげしい口調で批判した。八木さんが説明中に会場を後にし、ほかの観客からは「失礼だ」との声が聞かれた。それ以外はおおむね好意的な反応だった。

 地元の日本人ジャーナリスト関陽子さんは「熱意や勇気が伝わった。歴史的な説明もあり、面白いと思った人が多いのではないか」と語った。

 7日の映画祭授賞式で、日本から出品した作品への授賞はなかった。(共同)

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2015年9月8日のニュース