高倉健さん、中国でも人気絶大!上海映画祭で日本人初の特集上映

[ 2015年6月15日 05:30 ]

上海国際映画祭で始まった「高倉健トリビュート上映会」の会場に設置されたパネルにサインする降旗康男監督

 中国・上海で開催中の第18回上海国際映画祭で14日、昨年11月に悪性リンパ腫で亡くなった俳優高倉健さん(享年83)をしのぶ「トリビュート上映会」が始まった。中国の映画祭で日本人俳優の特集上映が行われるのは初めて。オープニング作品「鉄道員(ぽっぽや)」(99年)の上映会場は1000席が満員となり、中国で「良き友人」と慕われた健さんの絶大な人気をあらためて示した。

 会場となった中国最大規模の劇場「SFC上海影城」は、健さんファンであふれかえった。設置された写真パネルの前には大勢が集まり、押し合いながらスマホで撮影。「鉄道員(ぽっぽや)」の上映前、現地入りした降旗康男監督(80)が客席を見渡し「“健さん、今上海で、日本にはないような大きな劇場で座席が満員になっています”と、私の記憶の中にいる健さんに報告したところです」とあいさつすると温かい拍手に包まれた。

 中国では文化大革命後の78年、外国映画開放政策の第1弾として主演映画「君よ憤怒の河を渉れ」が公開され大ヒット。チャン・イーモウ監督(63)とタッグを組んだ「単騎、千里を走る。」(05年)は雲南省麗江で約2カ月間撮影した。日中友好の懸け橋となった健さんの訃報は中国でも大きく報じられ、上映会は映画祭側が哀悼と敬意を表して企画した。

 21日までに「網走番外地 望郷篇」「君よ憤怒の河を渉れ」「幸福の黄色いハンカチ」「遙かなる山の呼び声」の計5作が上映され、「網走…」は中国初上映となる。

 とりわけ「鉄道員(ぽっぽや)」は、健さんが「広く中国の人にも見ていただきたい」(降旗監督)と公開を熱望していた作品。中国での配給権を東映から譲り受けて一時保有し、中国での映画祭で上映された際の翻訳に納得がいかず、東京のスタジオで中国人俳優による吹き替え版を作ったほど思い入れが深い。

 今回は新たに用意された字幕版が上映され、終了後には、中国では珍しく拍手が湧き起こった。観客の40代女性は「ずっと見たかった。やっと見られた」と感激。50代男性は「私の人生でたった一人の憧れのスター。タフガイで格好よかった」と興奮していた。主演作「動乱」(80年)を企画した東映会長で日本映画製作者連盟会長の岡田裕介氏(66)も「中国での健さんの人気と知名度の高さにあらためて驚かされた」と話した。

 ▽上海国際映画祭 1993年に創設され、中国上海市で毎年6月に開かれている国際A級映画祭。01年の第5回までは隔年開催だったが、02年の第6回からは毎年開催されている。国家ラジオ映画テレビ総局と上海市が全面的にバックアップしている。

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