桜井センリさん孤独死 「クレージー」犬塚1人に…

[ 2012年11月13日 06:00 ]

谷啓さんとお別れする会でガチョーンをする桜井さん(右は犬塚弘、10年11月)

 60~70年代の人気7人組グループ「クレージーキャッツ」のメンバーで、名脇役としても活躍した俳優の桜井センリ(さくらい・せんり、本名千里=せんり)さんが、東京都新宿区の自宅で死去していたことが12日、分かった。86歳。一人暮らしで、近隣住民の通報を受けた警察署員が、倒れていた桜井さんを見つけた。クレージーで存命のメンバーは犬塚弘(83)のみとなった。

 警視庁牛込署によると、通報があったのは11日午後8時20分ごろ。新聞が取り込まれていないのを不審に思った近くの住民が110番した。約5分後に署員が通報者と自宅に入り、倒れている桜井さんを発見。既に死亡していた。死因は不明。同署は「事件性はなく、病死と見られる」としている。

 所属事務所によると、桜井さんは「過去に結婚していたが子供はおらず、親族は妹のみ」で、長く一人暮らしだった。最後の仕事は06年公開の映画「待合室―Notebook of Life」で、寒村の駅の委託駅員を演じた。その後は自宅でのんびりと暮らしていた。大きな病気はなく、寝込むこともなかったという。

 故フランキー堺さんのバンドなどを経て、60年に入院した故石橋エータローさんのピンチヒッターとしてクレージーキャッツに加入。女形のギャグなどで人気を得た。その際に30年生まれと、実際より4歳下で年齢を発表した。他のメンバーとのバランスを取ったとされる。石橋さんの復帰後もメンバーとして活動した。

 「東宝クレージー映画」シリーズなどに数多く出演。「男はつらいよ」シリーズの準レギュラーで、寅次郎の仕事仲間を演じた。テレビドラマでもフジ「空から降る一億の星」(02年)、テレビ朝日「南くんの恋人」(04年)などに出演し、味のある脇役として存在感を見せた。

 66年の殺虫剤「キンチョール」のCMでは、缶を逆さに持って叫ぶ「ルーチョンキ」が流行語に。フジ「おとなの漫画」(59~64年)などバラエティー番組でも活躍した。

 公の場に姿を見せたのは10年11月、同年9月に亡くなったクレージーのメンバー谷啓さん(享年78)のお別れの会が最後。犬塚弘とともに会見に応じた。意気消沈した様子だったが、都内のホテルに自身の運転する車で駆けつけた。

 通夜、葬儀は妹らの希望で密葬で行われる。

 ◆桜井 センリ(さくらい・せんり=俳優、本名千里=せんり)1926年(大15)3月20日、英国ロンドン生まれ。ロンドンで3歳まで過ごした後、東京で育った。早大在学中からジャズピアニストとして活動、60年に「クレージーキャッツ」に加入。クレージーが主役の映画などに多数出演。山田洋次監督の「男はつらいよ」シリーズや「たそがれ清兵衛」などに出演。テレビでも殺虫剤のCMの「センリばあさん」で人気を集めたほか、バラエティー番組「シャボン玉ホリデー」やドラマ「前略おふくろ様」などで名脇役として活躍した。

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