沢瀉屋!香川照之 九代目中車襲名披露に「緊張」

[ 2012年6月6日 06:00 ]

 九代目市川中車を襲名した俳優香川照之(46)が5日、東京・新橋演舞場で襲名披露公演「六月大歌舞伎」の初日を迎えた。昼の部の口上では、約40年間断絶状態だった父の猿之助改め二代目猿翁(72)や五代目市川団子を襲名した香川の長男・政明君(8)らと登場。「生涯をかけて精進し、九代目市川中車を名乗る責任を果たしたい」と決意表明した。

 香川は昼の部の口上で、約40年間絶縁していた新猿翁と同じ舞台に立った。

 「歌舞伎の舞台に初めてお目見え致しまする私は、生涯をかけまして精進し、九代目を名乗らせていただきます責任を果たして参りたいと存じております。今後は親子ともども、懸命に精進して舞台を務めて参ります」と白化粧に汗をにじませながら決意表明。

 68年に新猿翁と母で女優の浜木綿子(76)が離婚。当時3歳だった香川は、浜に引き取られて絶縁状態になっていたが、昨年春に新猿翁のもとを訪れて歌舞伎への思いを伝え、同居して“雪解け”した。

 新猿翁は、香川らの口上の最後に8年ぶりに舞台に登場。03年に脳梗塞で倒れてから療養しているため、台座に座ったままだったものの「相変わらぬごひいきのほどを」と口上を述べ、見えを切るような表情で場内を見渡し、息子の前で貫禄を見せた。

 また、政明君は「猿翁のおじいさまより、ずっと立派な俳優になることが私の夢でございます」とあいさつし、客席から笑いと拍手を浴びた。

 香川の歌舞伎デビューの演目は、昼の部の「小栗栖の長兵衛」。主役の長兵衛を熱演し、第一歩を踏み出した。同作は「新歌舞伎」といわれるジャンルで、親しみやすく娯楽性に富んでいるのが特徴。これまで培ってきた演技力を生かせる舞台で、約3分の長ゼリフをしっかりこなし、幕切れには客席から「中車」「沢瀉(おもだか)屋」の声が飛び、大きな拍手に包まれた。

 夜の部の「ヤマトタケル」では、香川と政明君の親子共演が実現。関係者によると、2人はこの日朝、出演する俳優のほか、大道具などの裏方さんにも「よろしくお願いします」とあいさつ。中車は口上後、汗びっしょりで「緊張しました」と話していたという。

 東京での襲名披露は7月下旬まで。その後、大阪、名古屋、福岡で公演し、来年12月の京都・南座まで続く。

 ▽沢瀉屋の由来 初代猿之助の生家が副業として薬草の沢瀉を扱う薬店を営んでいたため。

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2012年6月6日のニュース