[ 2010年8月6日 06:00 ]

音楽監督のジャナンドレア・ノセダは、繊細かつドラマティックな音楽作りでドラマを盛り上げた。(C)K・Miura

 前奏曲と同時に幕が開きヒロイン、ヴィオレッタ(ナタリー・デセイ)のものと思われる棺が運び込まれる。トリノ王立歌劇場の「椿姫」は台本には書かれていない葬送のシーンから始まったのです。その間、なぜか自然とピットの中の指揮者に目が行ってしまう。音楽監督を務めるジャナンドレア・ノセダは、その大仰な指揮姿からは想像しがたいほどの柔らかく甘美な響きをオーケストラから引き出していたからです。結局、ヴィオレッタが死を迎えて幕が降りるまで、指揮者の存在感は今まで体験してきたどのオペラ公演に比べても圧倒的なものがありました。最初、「ノセダは目立つために指揮台を高くしているのですか?」とコンシェルジェに質問したほど。190センチはあるのではないかという長身だということを教えてもらい、カーテンコールで実際の身長を確認し納得したわけなのですが…。ノセダの圧倒的な存在感も実際の身長以上に彼を大きく見せた要因なのかもしれません。

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2010年8月6日のニュース