“毒と癒やし”きみまろトークに中高年爆笑
「第17回スポニチ文化芸術大賞」の贈賞式では、漫談家の綾小路きみまろ(58)が爆笑トークで会場を盛り上げた。
「スポニチ文化芸術大賞」授賞式の動画
きみまろは「“初心に帰る”という言葉がございますが、そんな年ではございません。今年で58歳。ご破算です!」と笑わせた。
中高年、主に主婦を対象にした毒舌、風刺を効かせた芸一筋。ライブを収録したCD、DVDは、累計400万枚を超える人気で「ひと言で言って、コツコツやってきた結果かな」と受賞の喜びもひとしお。贈賞式では、おなじみの赤いジャケット、金色に輝く扇子を開き、漫談を披露。会場に笑いの渦を巻き起こした。
「潜伏期間30年」と言われ、21世紀の幕開けとともに花開いた匠(たくみ)の技。往年の名司会者、玉置宏(75)にあこがれて鹿児島から上京し、キャバレーなどのステージに立ち、森進一(61)、小林幸子(55)らの専属司会を務めるなどして話芸を磨いた。
売れない時代に浅草で、芸の話を肴(さかな)に飲み明かしたビートたけし(62)らが人気者になるのを見て「すさんだ時代もあった」という。それでも、来るべき高齢化社会を見据え「この坂を上りきったら、何か見えるはずだ。長かったですけどね」と夢をあきらめなかった。毒の効いた漫談は、時に「言い過ぎだ。セクハラだ」などとの批判が集中したこともあった。それでも、中高年の前から逃げ出さず「よくそのお顔で生きていらっしゃいますね」といった具合に、敬語を織り交ぜるなど試行錯誤を重ね独自のスタイルを築いた。
人気の理由については「何でですかねえ」と不思議そうな顔を浮かべながらも「人間はやっぱり笑いたいもの。中高年の人たちのリズムに合った笑いが、今の若い芸人ではなくて、私だったんですかね」と分析。ますます高齢化に拍車が掛かる世の中。そんな時代にマッチしたきみまろの笑いには毒もあるが、それ以上に癒やしも含まれている。
◆綾小路 きみまろ(あやのこうじ・きみまろ)本名假屋美尋(かりや・よしひろ)。1950年(昭25)12月9日、鹿児島県生まれの58歳。拓殖大学在学中から司会話術を独自に修業。キャバレー司会から日劇、歌手司会を経て漫談で独立。実演中心だがCD、DVDなどの著作が常にヒット。昨年、吉永小百合(64)の主演映画「まぼろしの邪馬台国」で銀幕デビューを果たす。
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