“殺人犯”とブログで中傷 19人一斉摘発

[ 2009年2月6日 06:00 ]

 お笑いタレントのスマイリーキクチ(37)のブログに、本人が殺人事件の犯人であるかのような誹謗(ひぼう)中傷や脅し文句を書き込んだとして、警視庁中野署は5日までに、脅迫容疑で川崎市の会社員の女(29)を書類送検した。ほかに、17~45歳の男女計18人も、近く名誉棄損の疑いで書類送検する。ブログなどへの書き込みに対する一斉摘発は初めて。

 調べでは、札幌市の女子高生(17)や大阪府高槻市の男(45)ら計18人は昨年1~4月、88年に東京都足立区で起きた女子高生コンクリート詰め殺人事件にキクチが関与したかのような事実無根の内容をブログのコメント欄に書き込み名誉を棄損した疑い。また、会社員の女は昨年12月、「殺してやる」などとキクチを脅す内容の書き込みをした疑い。19人全員が「犯罪になるとは思わなかった」と供述した。
 同署によると、キクチがブログを開設した昨年1月以降、「人殺しがなんで芸人をやっているんだ」「死ね、犯人のくせに」「てめえは何をしたと思ってるんだ」などという書き込みが数百件に上り、通信記録を分析した結果、数十人の関与が判明。被害届を受け、同署が悪質な書き込みをした人物を特定し、立件に踏み切ることにした。
 著名人らのブログが人気を集める中、中傷が大量に書き込まれる状況は「炎上」と呼ばれ、ブログの閉鎖や書き込み停止に追い込まれるケースが後を絶たない。警察庁によると、誹謗などに関する相談数は03年が2600件、昨年は8800件で6年間で3倍以上に増加。ただ、炎上をめぐり書き込み者が立件されたケースは「聞いたことがない」という。
 キクチは足立区出身。芸人仲間らに「元不良」と冷やかされ、女子高生コンクリート詰め殺人事件の犯人と同世代だったことなどから、10年ほど前からインターネットの掲示板などに「事件の犯人だ」「犯人と知り合いだ」などと書き込まれた。ホームページやブログで否定してきたが、書き込みは後を絶たず、仕事先などにも誹謗中傷のメールや電話があった。
 キクチは5日、文書でコメントを発表。「犯人」などの中傷について「まったくの事実無根」と重ねて否定した上で「生命の危機を感じる、殺害予告とも受け取れる内容にまでエスカレートしてしまった。このままでは、私自身の生活・仕事に影響があるのみならず、家族や友人・知人にこれまで以上に不安な思いをさせてしまうと考え、警察と相談の上で被害届を出した」と説明。「今後このような事件が起きないことを心より願っております」としている。

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2009年2月6日のニュース