おくりびと“オスカー前哨戦?”本木が受賞

[ 2009年1月15日 06:00 ]

 東京映画記者会(スポーツニッポン新聞社など在京スポーツ7紙の映画担当記者で構成)が選ぶ第51回ブルーリボン賞(08年度)の各賞が14日、決定した。主演男優賞は「おくりびと」の本木雅弘(43)が受賞。同作品は第81回米アカデミー賞の最優秀外国語映画賞の1次選考もクリアし、最終候補作選出にさらに期待が膨らんだ。作品賞は「クライマーズ・ハイ」に輝いた。

 例年以上の激戦を本木が制した。楽団の解散に伴って死者の旅立ちをアシストする納棺師に転身した元チェロ奏者が役どころ。遺体を清め、納棺する作業の美しさも高く評価されての勲章。「接戦だったんですか?僕を押さなかった記者さんもいたんですか?」のジョークが逆に喜びの大きさを物語っていた。
 死を通して人間の営みを描き出した作品はモントリオール世界映画祭でグランプリを獲得。そして14日早朝にはオスカーの1次選考突破という吉報も米国から飛び込んできた。65作品から絞られた9作品に残り、日本時間の23日に最終候補5作品が発表される。
 企画したのは本木自身だった。15年前に青木新門氏の著書「納棺夫日記」に出合ったことがきっかけ。当初は「納棺の儀式にフェティシズムを感じ、その手順を徹底的に描こうと意気込んでいた」と振り返ったが、そこに滝田洋二郎監督(53)らの解釈が加味されてエンターテインメントに昇華していった。「コアな部分が欠けて消化不良になったと思えたり、(演技が)やりすぎだったのではと反省したり…。結局、現場での“小さな綱渡り”がすべて吉と出てくれた」と話した。
 一昨年秋、所属事務所の社長で、映画の実現に奔走した小口健二氏が死去。天国にいい報告ができることが本当にうれしそうだった。助演女優賞には義母の樹木希林が選ばれ、義父の内田裕也も昨年11月にロックイヤーの69歳になった。「おめでたいことが重なりました。ツキを使いすぎて、内田家はこの先、大丈夫かな」と笑った。

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2009年1月15日のニュース