藤田まこと“断腸の思い”食道がんで降板

[ 2008年4月17日 06:00 ]

 俳優の藤田まこと(75)が食道がんのため主演予定だった明治座(東京都中央区)の6月公演「剣客商売」(6月3~24日)を降板することになった。代役は平幹二朗(74)。藤田は精密検査を受けるため、自宅がある大阪市内の病院に入院中。16日、明治座を通じて発表したコメントで「断腸の思い」と無念さをあらわにした。

 藤田は直筆署名入りのファクスで「健康管理のつもりで受けた健康診断で異常を指摘されて検査入院。その結果、食道腫瘍(しゅよう)と診断されました」と報告。50年以上の芸歴の中で降板するのは初めてで「健康管理も仕事のうちと言われる役者稼業にあって不本意ながら、明治座公演を降板させていただくことは断腸の思いです」と悔しさをにじませた。
 所属事務所によると、3月になって「食事が取りづらい」と訴え始め、同21日に大阪市内の病院で検査を受けた。今月2日に再検査を受けた結果、医師から「食道の脇に腫瘍ができていて、食道を圧迫している」と診断され手術を勧められた。
 藤田は「なんとしても明治座公演はやり遂げたい」と、治療を受けながらでも舞台を務めることを希望。3月29日には同公演のPR写真を京都で撮影していた。しかし、周囲から「途中で降板したほうが迷惑がかかる」などと説得され、降板を決意した。
 11日に都内で行われた「剣客商売」のトークショー出演はキャンセル。関係者は「過労による体調不良」と説明していた。
 現在は入院中で放射線治療を受けている。手術するかどうかは今後の経過を見て判断する。
 以前は芋焼酎を「ロックでがんがん」飲んでいたが、医者に薦められ赤ワイン党に。ここ数年はタバコもやめていた。
 98年から「剣客商売」のドラマシリーズ(フジテレビ)に主演し、04、06年に明治座で舞台版を上演。今公演の第2部は、ゲストに迎えた小柳ルミ子(55)の単独コンサートとなる。
 藤田は「ご迷惑とご心配をお掛け致しましたお詫(わ)びとお礼は、1日も早く、健康な役者・藤田まことの姿を皆さまにごらんいただくこと。1日も早い回復に努めて参ります」と誓った。

 ◆藤田 まこと(ふじた・まこと)本名原田眞。1933年(昭8)4月13日、東京都生まれ。父は無声映画時代のスターだった藤間林太郎。京都の高校を卒業後に歌手として芸能界入り。62年から始まったコメディードラマ「てなもんや三度笠」で披露した「当たり前田のクラッカー!」のギャグで全国区に。93年には夫人が経営する料理店が倒産し、約30億円の借金を背負った。02年に紫綬褒章を受章。主な主演作はテレビ朝日「はぐれ刑事純情派」など。

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2008年4月17日のニュース