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堤聖也が激闘大逆転V2!5階級制覇の“伝説”ドネアとの壮絶打ち合い判定2―1「ギリギリでしたね」

[ 2025年12月17日 21:41 ]

WBA世界バンタム級タイトルマッチ   王者・堤聖也(角海老宝石)<12回戦>暫定王者 ノニト・ドネア(フィリピン) ( 2025年12月17日    東京・両国国技館 )

<WBA世界バンタム級TM 堤聖也・ノニト・ドネア>2-1の判定勝利。ドネアと抱き合う堤(撮影・長久保 豊)
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 WBA世界バンタム級王者の堤聖也(29=角海老宝石)が団体内王座統一戦で同級暫定王者ノニト・ドネア(43=フィリピン)を死闘12回判定2―1で破り、2度目の防衛に成功した。目の手術により約10カ月ぶりとなったリングで暫定王座を吸収し、プロデビューから16戦無敗(13勝3分け)とした。

 静かな、しかし緊迫感のあるスタートだった。お互い切れ鋭いジャブで距離を取る。会場をどよめかしたのはドネアだった。“宝刀”左フックで堤のガードの上を強打。その後も変幻自在の左でチャンスをうかがった。一方の堤はドネアの多彩なパンチに動じず、冷静にさばいた。第2Rはお互い距離を縮めパンチの回転を上げた。堤は左フックを警戒も、意表を突いた右ストレートをクリーンヒットさせたドネア。しかし、第4R中盤に堤がラッシュでドネアをコーナーに追い詰めると、会場は大盛り上がり。ドネアも負けずに左フック、左アッパーで圧力を強めると、右フックで体勢を崩させた後に強烈な右アッパー。堤は鼻から流血しよろめいたが、ゴングに救われた。

 第5Rも冷静に攻撃を繰り出すドネアの前に防戦一方。しかし、第6R終盤に左フックを当てた後に強烈な右ストレートを食らわし会場を沸かせた。第7Rは会場の熱気に背中を押された2人の打ち合いに。堤が流れを引き戻した。第8Rにはこの日最高の右フックをドネアに食らわした。序盤の劣勢を見事にはね返した堤。第10Rには強烈な右を叩き込み2度グラつかせる場面も。第6Rの逆襲から大逆転でドネアに勝利した。判定は堤が115-113、117―111、ドネア116―112の2―1で堤が勝利した。リング上の勝利インタビューでは「ギリギリでしたね…皆さんご心配をおかけしました」と頭を下げ「ドネア選手、本当に強かったです。左フック…これがレジェンドのパンチか、と。皆さんの声援のおかげです」でホッとした表情を見せた。最後には「自分の心の中にあるピストルを信じ、これからも頑張っていきたいと思います」とさらなる高みへの挑戦を誓った。

 2025年2月、比嘉大吾(志成)とダウンの応酬となる激闘の末に引き分けて、初防衛を果たした。しかし、長年の激闘で痛めた両眼の角膜は、限界に達した。

 「2、3年前から痛みがあった。カメラのフラッシュで目を開けられなかった」。ごまかしながら続けてきたが、試合でも「ブロックした反動でも目が開けられない」状態になり、比嘉戦後に手術に踏み切った。「不安はなくなった」が、リング上では想定外の動きが続いた。

 堤が休養王者だった間に、アントニオ・バルガス(米国)が正規王者になった。堤は休養空け初戦にバルガスと対戦するはずだった。一方でドネアが暫定王座を獲得。さらに、バルガスは母親の急死を理由に休養王者となり、WBAはドネアとの団体内統一戦を指名した。

 試合約2カ月前の10月下旬。バルガス戦に向けた練習中にドネア戦を告げられた。「ドネアとやんの?」。驚くのも当然だった。51戦、四半世紀のキャリアを持つ、5階級制覇のレジェンド。バルガス戦に向けて「イメージしてきたことが全部、変わった」。

 バルガスは、身長1メートル66のボクサーファイターで、好戦的な半面、打たれもろさもある。一方のドネアは、身長1メートル70と長身で、リーチは1メートル74もある。左フックを主武器にするパンチャーで、スイッチを多用する器用さも持ち合わせるスーパースターだ。

 43歳となったドネアは衰えも指摘されるが、陣営の石原雄太トレーナーは「年齢、体力に合わせてボクシングを変えている。左フックだけでなく、左ボディー、右クロスも良くなっている」と警戒。2、3度のダウンを喫する想定で、練習を積んできた。

 「倒されたら、倒し返せばいい」。堤と言えば「激闘」が代名詞だ。24年10月、WBA世界バンタム級王者・井上拓真(大橋)に挑んだ試合では、アマ時代に翻弄された同学年のライバルを、前進と手数で追い続けて判定勝ちした。比嘉との試合も、年間最高試合の候補に挙げられる名勝負だった。

 難敵・ドネアを退け、堤は2度目の防衛に成功した。「勝てば、夢が広がる」と試合前に話していた通り、次戦の候補は、バルガスをはじめ、大みそかにWBA挑戦者決定戦を行う井岡一翔(志成)、WBC王者・井上拓真らの名前が挙がる。

 26年5月に東京ドームで計画されている井上尚弥(大橋)―中谷潤人(M・T)のビッグマッチの前座に「出たい気持ちはある」と話す堤。一時は日本勢が独占していた世界4団体のバンタム級は、武居由樹(大橋)が敗れ、中谷が返上したことで、王者は2人となった。その中心に、堤がのし上がってきた。

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格闘技の2025年12月17日のニュース