【センバツ】中京大中京 選抜勝利数単独トップ59勝 伝統芸能「棒の手」使い手・松田知輝が大会1号

[ 2026年3月20日 05:30 ]

第98回選抜高校野球大会第1日・1回戦   中京大中京3―1阿南光 ( 2026年3月19日    甲子園 )

<阿南光・中京大中京> 6回、中京大中京・松田は今大会1号目となる本塁打を放つ (撮影・平嶋 理子)
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 伝統芸能の使い手が、伝統校・中京大中京に勝利をもたらす立役者となった。主演は「5番・一塁」の松田だ。同点の6回1死無走者で、真ん中直球をスパッと刀を抜くかのごとく振り抜いた。高々と上がった打球は、左翼席へ消えた。大会1号の決勝ソロ。「ダイヤモンドを回る時の景色が最高でした」。単独で史上最多に立つ選抜59勝目を挙げ、三塁側アルプス席ではスタンディングオベーションが湧き起こった。

 踏んできた舞台の数が違う。愛知の民俗芸能で、武術の形を演じる「棒の手」を7歳から習っている。手に持つのはバットではなく刀やヤリ。姿勢を低く保ち、殺陣のような演技を続けるうちに体幹が安定した。ショッピングモールでの行事などに出演すると「人前に立つことに慣れた」と度胸も身についた。そして、初の聖地で長打2本を含む3安打。舞台経験が役立った。

 冬場は役づくりに励んだ。昨秋の明治神宮大会では、神戸国際大付(兵庫)に3被弾を喫して0―7の完敗。試合直後の宿舎で「体格から違った。絶対、体は追いつこう」と選手同士で約束した。元から恵まれた体格を誇る松田も3キロ増の96キロに。昨年1年間で2発だった本塁打は、今春だけで4本目。主砲としての土台を固め、大会1号を生んだ。24年の新基準の低反発金属バット導入以降、開幕日に本塁打が生まれたのは春夏通じて初だ。

 これで春夏ともに単独での甲子園歴代最多勝利校になった。「長い歴史の中で、この一勝を挙げることができてうれしいです」。甲子園史に名を刻みながら、伝統を紡いでいく。 (河合 洋介)

 ▽棒の手 起源には諸説あるが、戦国時代に農民が自分の身を守るために棒と棒で武術訓練を行った「棒の手合わせ」が由来とされる。棒や木刀、ヤリ、鎖鎌、真剣などを使用し、主に2~3人が形に基づいて行う民俗芸能。時代とともに武術を念頭に置いた武技の芸能として神社・仏閣に奉納する演技に変化し、現在では愛知県中央部を中心に約20の流派が伝わる。

 ◇松田 知輝(まつだ・ともき)2009年(平21)8月8日生まれ、愛知県出身の16歳。小2からペイ・フォワードで野球を始め投手、捕手、一塁手などを務める。尾張旭西中では東山クラブに所属。中京大中京では1年秋から背番号3でベンチ入り。50メートル走6秒9、遠投75メートル。1メートル75、96キロ。右投げ右打ち。

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