現地国営TVも特集!国学院大野球部は何しにマレーシアへ?鳥山監督が勝利と同じくらい重要視する「経験」

[ 2026年2月4日 22:33 ]

マレーシアの国営TVから取材を受ける鳥山監督(中央)
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 アマチュア野球の指導者らに采配やチーム運営などについて、インタビューする連載「指導者の思考法」。第11回は東都大学野球1部リーグに所属する国学院大の鳥山泰孝監督(50)。1月30日から5日間の日程で「国学院大学 硬式野球部 マレーシア遠征」を初開催した意義と狙いを聞いた。(取材 アマチュア野球担当キャップ・柳内 遼平)

――2月は各大学が春季キャンプに入る時期ですが、1月末から「国学院大学 硬式野球部 マレーシア遠征」を初めて実施した。野球強豪国の米国や韓国ではなく、なぜマレーシアなのか。
 「どちらかというと(野球界では)韓国、台湾、アメリカといった国が遠征先の選択肢として多い中、あえてそうではない国を選ぶことで彼らの視野を広げたかった。野球は二の次というくらいのイメージ。バトゥ洞窟を観光して異文化に触れたり、マレーシアの大学生たちと5、6人のグループを組んで、言葉も通じない中で“もうどこに行ってもいい”とフリータイムを取らせたり。“世界に友達を作ってこい”と言って送り出しました」

――情報化社会が進んだ現代はスマホ一つで世界中の情報が手に入る。それでもこの時期にマレーシアに行った意義とは。 
 「百聞は一見にしかず。現地に足を運ぶリアリティが大事だと思うからです。例えば、今話題のチャッピー(ChatGPT)に“A君をプロ野球選手にするためにはどうしたらいいか”と質問をしたら、凄いメニューが出来上がるわけですよ。しかし、同じメニューをやっても同じ成長をするかといったらそうじゃない。なぜなら、人それぞれに異なる経験、怪我歴、クセなどを持っているからです。チャッピーで本質に近づいたと思ったら、実は本質から遠ざかっていることがある。本質に近づくって何だといえば本物に触れること、経験を繰り返すこと。リアリティの先に僕は本質があると思う。(大卒1年目を迎える)23歳という一つの節目の前に、視野を広めてから自分の進路を決めるという作業をしてもらいたいと思っています」

――今回、マレーシアで野球を練習した時間はわずか。現地の子どもたちに向けた野球教室や、工場見学など文化、社会を学ぶ時間を多く取りました。激しい入れ替え戦が繰り広げられることで知られる“戦国東都”を戦うチームとして練習時間は1秒でも惜しくないか。
 「我々にとって勝つことは大事です。それと同じぐらい今回の試みも大事と考えています。もしこの遠征が原因で負ければ(外部から)“マレーシアなんかに行っていたからだ”と言われるかもしれない。ただ、学生野球の頂点を目指す我々が、新しいことにチャレンジし、これからの時代に対応できる人材を育てる責任があるとも考えています。時代は違えど、大先輩の東都の監督たちも、その時代その時代で(試みを)変えてきている。何が正解かは分からないですけど、僕自身もやっぱりチャレンジしたい」

――今回の試みはマレーシアの国営TV放送が取材に訪れるほど現地で注目された。遠征に参加した学生たちの反応は。
 「表情が生き生きとしていましたね。“もう終わっちゃうのか”と名残惜しそうにしている選手もいました。(現地で実施した野球教室では)言葉が通じなくても、現地の子供たちとすぐに打ち解けて、野球という共通言語で友達になっていく。その姿を見て、この遠征は成功だったと確信しました。東都リーグで野球をやっていると、北海道から沖縄まで友達ができるわけですよ。でも、もっと視野は広げられると思います。(野球教室の)最後の方はね、選手たちが日本語を教えるからマレーシアの子供たちが“なんでやねん”とか“いいね”とか日本語を話したりしてくれた。やっぱりスポーツの一つの面白さっていうのは人脈を広めていく、友人を作っていくこと。そういう力があると思いますね」

――この貴重な経験をシーズンにどうつなげていく。
 「今年のチームスローガンは“新・国学院”です。新しい価値観を生み出し、新しいことに挑戦していく、という意味が込められています。今回のマレーシア遠征は、まさにそのスローガンを体現するチャレンジでした。このことを勝つことに繋げるとかそういうことではなくて、それとこれとは別。でも楽しいという感情は、いろんなものを生み出す源になると思う。そういったことも今回の大きな狙いの一つですね」

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