なぜ京大の走塁は脅威なのか シャッフルなし、小刻みリード――盗塁増の裏にあった奇想天外な改革

[ 2025年6月6日 08:00 ]

今春リーグ戦で京大の二塁走者はシャッフルを使わずにリードしていた(撮影・河合 洋介)
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 大学野球の関西学生野球で、強豪私学に対抗しようとする京大の走塁革命が目を見張る。最下位に終わった今春はチーム打率・186と振るわず、チーム盗塁数がリーグ4位の「10」と低調だった。ただし、昨春はチーム盗塁数「15」で同1位、昨秋は「13」で同2位。確かな走塁技術が相手の脅威になっている。

 チーム盗塁数がリーグ1位となった昨春、大きな改革を断行した。二塁走者の「シャッフル」を止めたのだ。

 シャッフルとは、投手が投球動作に入ってから、走者が2、3度跳ねるように次の塁に近づくステップのことを指す。しかし、京大の二塁走者は、三塁方向には進まず、小刻みに地面を踏むように両足を動かしながら捕手方向に前進する。三塁方向に近づくのではなく、勢いをつけて二三塁の直線上に入ってくるイメージだ。主将の山本陶二(4年)が説明する。

 「助走をつけて加速しているイメージです。シャッフルをして単純に三塁に近づくより、スピードに乗って走り始めた方が三塁到達は速いと思う。三塁に近づいていないように見えるけど、走りながら前に進んで二三塁線上に入っているので、三塁にも近づいてはいる。足を細かく動かしてタイミングを取るという狙いもあります」

 野球界の常識に縛られない走塁方法は、元ソフトバンクの近田怜王監督が考案した。23年冬、同監督は野球と別競技の関係者に聞かれた。「なんで野球にはシャッフルという、あんなに不規則な動きがあるの? 自分たちで動きを難しくしていない?」。目からうろこが落ちるような問いかけだった。

 確かに、シャッフルという跳ねる形は細かな動きが制限される。何より、タイミングが合わなければ、捕手からのけん制に刺される危険性がある。そこで、シャッフルではなく、足を細かく動かしながら、いつでも動き出せる形を編み出した。

 今春リーグ戦では、三盗敢行が相手の失策を誘って得点を奪った場面があった。近田監督は、手応えをつかんでいる。「今春は二塁に走者がいる場面が少なかったけど、やはりチャンスはあるなと感じた。それに、今春も二塁走者は捕手からのけん制で刺されなかった。これから継続してどう積み重ねていけるかですね」。京大だから頭を使おうとしているわけではない。本気で優勝を狙うために、常識を疑い続けている。(記者コラム・河合 洋介)

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