DeNA伊勢の心情に気づけなかった記者の猛省 そして大明神の言葉で山崎の存在感を痛感

[ 2025年3月3日 08:00 ]

2日の中日戦で力投した先発の伊勢(撮影・椎名 航)
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 沖縄・宜野湾キャンプで何を取材していたのか…。2月28日にバンテリンドームでDeNA・伊勢大夢と話し込み、猛省した。

 昨季までの救援から先発に転向し、3月2日の中日戦での先発登板に備えた調整を見ていた。練習を終え引き上げる途中、伊勢がつぶやいた。「調子が上がらない。アピール選手なのに」。22年は救援で71試合登板。無死満塁で登板し、封じることもあった。風貌も重なり異名は「伊勢大明神」。勝手に鋼のメンタルを持つ男と思い込んでいた。

 「毎年、この時期は調子が上がらない。悩みますよ。球速も上がらないし、先発に転向して調整の仕方も違う。わかっているけど、悩みはもの凄くある…。(九州学院の2学年後輩のヤクルト)村上と(沖縄で)対戦したときも、自分のことでいっぱいいっぱいだった」

 今春の沖縄・宜野湾キャンプではブルペンで「球がしょぼい」と自らに「喝」を入れ、予定を上回って100球以上を投げ込んだ日もあった。武骨に見えたが、彼の不安を軽視していた。だから、バンテリンドームで「キャンプでも大明神的メンタルばかりに焦点を当てていた」と心を折られた。

 さらに心を打ち抜かれる言葉が続いた。

 「でも、俺、入団6年目でしょ。俺が入団したとき、ヤスさん(山崎)がちょうど6年目。そのときのヤスさんの悩み続ける姿、ずっと見ていたから。今の自分の悩みなんか、プレッシャーを背負い続けたヤスさんから比べたら、大したことはない。そう自分に思い込ませ、前を向いてますよ」

 山崎のプロ6年目は20年のこと。入団から5年で163セーブを積み上げた順調なペースが一転、その年は6セーブへ急降下した。同じ救援の伊勢は苦悩を見続けていた。だからこそ「今の自分に耐えられる」という。

 山崎に聞いた。

 「大夢(ひろむ)、そんなこと言っていたんですか。彼はああ見えて周囲を観察しているし、ナイーブなんです。一緒にやってきたし、先発に転向した大夢も応援したい。僕は今も苦しんでいるけど、当時も誰かが見ているなんて思う余裕はなかった。でも、当時の僕にも何かの意味はあったのかな」

 3月2日の登板で4回1失点にまとめた伊勢は「まだ課題は多い」と表情を引き締めた。その姿を見て思ったことは、山崎を見て育った伊勢が先発して8回までを投げ、最終回を山崎が締める。さらに2人でお立ち台に上がり、笑顔を見せ合う。その光景を見たい…ということだ。

 猛省と同時に選手の心情の裏側を知れば知るほど、取材する楽しみが増えることも再認識した。そう思って、これからも取材を続けたい。(記者コラム・大木 穂高) 

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