【甲子園】来年につながる熊本工・山本の129球 負傷の広永に代わり、エースの重責果たした

[ 2024年8月13日 05:00 ]

第106回全国高校野球選手権大会第6日 2回戦   熊本工1ー2広陵 ( 2024年8月12日    甲子園 )

<熊本工・広陵>力投するする熊本工・山本(撮影・中辻 颯太)
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 3年ぶり出場の熊本工は広陵(広島)に1―2で敗れた。熊本大会中に右肋骨を疲労骨折した広永大道(だいち=3年)に代わり、甲子園から背番号1をつけた先発の山本凌雅(2年)は8回1/36安打2失点、129球の粘投。打っては中前に先制適時打を放つ活躍だったが、2019年以来5年ぶりの1勝には一歩及ばなかった。

 祈った。熊本工の山本は最後まで信じた。1点を追う9回1死二、三塁と逆転サヨナラのチャンスも、あと一押しができなかった。「勝てなかったことが悔しい。自分の実力不足」と唇をかんだ。

 特別な夏だった。熊本大会初戦。背番号1だった最速146キロ右腕、広永が右肋骨を疲労骨折し登板できなくなった。背番号10の山本は準々決勝から3試合連続完投し、聖地ではエースナンバーを託された。「重圧は感じていた」と明かす。

 広永からピンチでの心構えなどを学ぶなど、尊敬する先輩からグラブを借りた。「楽しめ」と背中を押されて思いも背負った。熊本大会14打席でわずか1安打だったバットでは、5回に好投手の高尾から中前に先制適時打を放ち右手を突き上げた。投げてもスライダー、カットボールを低めに集め、9回途中2失点と好投した。一戦ずつ成長した右腕に田島圭介監督は「自分で投げきるという気迫を全面的に出してくれて成長してくれました」と評価した。

 小学校の頃に父の大輔さん(41)に連れられ熊本工の試合を見て、伝統のユニホームにあこがれた。春と夏、あと2度チャンスがある。山本は投げ合った高尾の名を挙げ「それ以上のピッチャーになってまた甲子園に帰ってきたい」と誓った。甲子園100周年に春夏通算44度目の出場。古豪ではなく強豪と呼ばれることが、チーム目標。それをかなえるためにも、新チームを引っ張っていく。 (杉浦 友樹)

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