ヤクルトの10点差大逆転で野球に「一目惚れ」 「超多忙」な明大・小池璃子マネジャーの夢

[ 2024年4月11日 16:12 ]

桜の前でポーズをとる明大野球部・小池マネージャー(撮影・郡司 修)
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 記者は前職の公務員(行政職員)時代にスポーツ文化振興を担当し、スポーツにおいて「する」「みる」「支える」のどれもが欠かせないと業務を通して学んだ。だからこそ、なかなかスポットライトの当たらない「支える」人を報じることが重要だと思っている。

 20年にアマチュア野球担当となり5年目を迎えた。取材経験から「良いチームには優れたマネジャーあり」と考えるようになった。野球部に所属しながら選手とは異なり、完封勝利も本塁打もないマネジャーたちの活躍を記していく。

 創設99年の歴史を持つ東京六大学野球の春季リーグ戦は13日に開幕。2季ぶりのリーグ優勝を狙う明大野球部の小池璃子さん(4年)は「日本一忙しいマネジャー」かもしれない。通常のマネジャー業務に加え、スマホには昼夜を問わず取材依頼の電話が殺到する。同部はドラフトで14年連続でNPBに選手を送り出している名門。ただでさえ注目度は高いが、今年はドラフトの目玉とされる遊撃手の宗山塁主将(4年)がいる。某人気野球雑誌の表紙を飾ったようにメディアの注目度は最大級。同部で広報担当を務める小池マネジャーは目が回るような忙しさの毎日が続くも「明治の野球部には“こんな選手がいるんだぞ”と知ってもらえることは良いこと。仕事がいっぱいある毎日が凄く楽しい」とへっちゃらだ。

 神宮球場で観戦した「大逆転」が転機だった。2017年7月26日のヤクルト―中日戦。当時中3でソフトテニス部に所属していた小池さん。この試合でヤクルトは0―10で7回を迎えるも8回に同点に追いつき、10回にはサヨナラ勝ち。史上稀に見る逆転劇を目に焼き付け「野球は面白い!」と一目惚れした。桐生高校ではマネジャーとして野球部に入部。引退までの2年半で甲子園出場はならずも、同じ群馬出身として応援していた3学年上の前橋育英・丸山和郁(現ヤクルト)が明大へ進んだこともあり、「大学でも熱中したい」と明大進学を決め、野球部に入部した。

 「転機」の神宮球場が東京六大学野球リーグ戦の本拠地。22年春から23年春までのリーグ3連覇など忘れられない思い出を選手と一緒につくってきた。昨秋の新チーム始動時から責任ある副務のポジションを任され、広報担当の責任者となった。アマチュア球界で屈指の注目を集める宗山主将には新聞、雑誌、テレビなどから取材が大挙して押しかける。人一倍練習に打ち込む宗山主将のコンディション、取材規定を考慮しながら本人、指導者と打ち合わせて取材の可否を決定する。チームとメディアとの間に入り折衝する大変な仕事にも「たくさんの取材をいただけて、凄くやりがいになっている」と前向き。「大人の方と関わる機会が増えて成長できた。大学で自分に自信を持つことができるようになりました」と充実の日々を誇った。

 チームと小池マネジャーは春、秋リーグ戦の制覇、全日本大学野球選手権制覇、明治神宮大会制覇の「四冠」を目標に掲げる。そして個人的にかなえたい夢がもう1つ。「社会人野球のマネジャーになりたい」と卒業後の進路を模索中だ。一目惚れから駆け抜けてきた野球道。まだまだゴール地点は先にありそうだ。(柳内 遼平)

 ◇小池 璃子(こいけ・りこ)2002年(平14)11月1日生まれ、群馬県前橋市出身の21歳。宮城中ではソフトテニス部に所属し、桐生(群馬)ではマネジャーとして野球部に入部。明大野球部でもマネジャーを務め、3年秋に副務就任。好きな言葉は「順境に驕らず逆境に惑わず」。好きな食べ物は餃子。ニックネームは「りこぴん」。明大では政治経済学部地域行政学科に所属。

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