レベルアップに欠かせない他球団選手との交流 ロッテ・茶谷も合同自主トレが契機で変わりつつある

[ 2024年1月9日 05:00 ]

ロッテ・茶谷(左)は井口前監督(左から2人目)の現役時代から師弟関係だ
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 【鳥越裕介 かぼす論】1999年途中に中日からダイエーへ移籍してから、秋山幸二さんのグアムトレに参加してみたいとずっと思っていた。一流選手がどういう1月を過ごしているのか、純粋に聞いて、見て、やってみたかった。ただ、当時の私はチームにいる歴史も浅かったので、結局、言い出すことはできなかった。

 昔は学校のつながりでもなければ、他球団の選手と交流することは少なかった。今の時代は侍ジャパンが呼び水になったように、球団の垣根を越えた選手同士の交流が盛んになり、合同自主トレをするのは当たり前になった。日本の野球のレベルを上げるためにも、積極的にやった方がいいと思っている。

 現役時代にはできなかったが、コーチになってからは(預ければ)伸びるのではないかと思える他球団の選手へ若手選手を紹介することを積極的にやってきた。最初はチームメートだったロッテ・井口資仁にソフトバンクの李杜軒(リー・トゥーシェン)を頼んだ。ダイエー時代に井口というプレーヤーが良くなっていく過程をこの目で見てきた。李杜軒には感覚的にヒントになると考えた。

 加えて井口はもの凄く練習する選手で、練習から逃げがちだった李杜軒には元メジャーリーガーの姿を直接、見てほしかった。心配なのとお世話になるからと、差し入れを持って自主トレ先の沖縄まで陣中見舞いに行ったが、すでに自主トレのメンバーの中で人気者になっていてひと安心。考えていた通りにあの自主トレから李杜軒の意識が変わった。結果、もの凄い実績を残したわけではないが、1軍でもホームランを打った。お願いしてよかったと感じた。

 井口にはソフトバンク時代の茶谷健太もお願いした。茶谷は高校時代(帝京三)は投手で、内野手に転向したプロではそれほど脚力のあるタイプではなかった。将来は肩を生かして外野で使えるかもしれないという狙いで三塁をやっていたが、自主トレから戻った井口から「二遊間がいいかもしれない」と言われた。その後、ソフトバンクでは戦力外になったが、ロッテのコーチをしていた時だったので声をかけた。監督になっていた井口も「使える」という判断をしてくれた。自主トレで実際に触れ合っていたのは、大きかったのかと思う。茶谷は昨季、初めて1年間1軍で過ごした。時間はかかったが、順調に存在感を出していると思う。

 その後、和田毅に土肥星也、森唯斗には東妻勇輔、柳田悠岐には安田尚憲、藤原恭大、嘉弥真新也には成田翔をお願いした。私自身も経験したことだが、なかなか、自分から他球団の選手の自主トレに「お願いします」と言うのは難しい。そう、思ってやり始めたことが、成長のきっかけになればうれしいことだ。

 2024年、皆さまにとってよい1年になりますように。(野球解説者)

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