明大の「ジェイ」大川慈英が「怪我の功名」で152キロ右腕に 弟「ケイ」も常総学院投手

[ 2024年1月6日 22:48 ]

明大の初練習を終え、取材に対応する大川(撮影・柳内 遼平)
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 東京六大学リーグの明大が6日、府中市のグラウンドで始動した。最速152キロ右腕・大川慈英(じぇい・2年)は34本のポール間走で汗を流し「これまで以上に走りきらないといけないという思いが凄くあった」と新たな自覚を胸にした。

 鮮烈なデビューだった。リーグ戦初登板を果たした昨秋は6試合、9イニングを投げて6安打1失点で防御率は1・00。最速152キロでホップ成分の大きい直球を軸に14三振と圧倒的な奪三振能力を披露。「チームに、相手に食らいついていくことに必死だった。後先考えずに一瞬、一瞬に挑戦して投げたら結果がついてきた」と充実の結果を振り返る。

 常総学院では21年春の選抜に出場。2試合、計9イニングを投げて5安打1失点で5三振と最初で最後の甲子園で結果を出した。明大では1年時に右肘痛でノースローの日々を送ったが、体づくりを見直す時間にあてた。体重は入学時の62キロから72キロへ10キロもアップ。「怪我の功名です」と逆境に負けなかった日々に胸を張った。

 本格復帰は昨春。秋にはリーグ戦デビューを飾った。9イニングで14三振の数字にも「データを取られていなかったから」と過信はないが「自分のボール的にも凄く成長できた」と自信はついた。追求してきたのは「分かっていても打てない真っすぐ」。従来からホップ成分が大きい球質だったが、常総学院時代はシュート回転することもあった。明大では「指にかけてバックスピン」の意識でホップ成分を減らすことなく、シュート成分が減少。回転数は2620を計測するなど直球に磨きをかけている。

 明大で成長を続ける大川を追う3学年下の弟がいる。今春の選抜出場の当確ラインを突破している常総学院の最速145キロ右腕・大川慧(けい・2年)だ。甲子園で投げる兄の姿をアルプス席から見たことが常総学院に進学したきっかけだった。同じユニホームの袖を通した弟に「年末年始も一緒に練習した。選抜に向けてというふうに頑張っていたので結果を出してくれればうれしい。キャッチボールをしたんですけど、あの球だったらコースに決まれば打たれない」と大川。弟の思いと同じくらい、兄弟を誇らしく思っている。

 昨年の明大を支えた石原、村田、蒔田の3投手が卒業し、大川の受ける期待は大きい。「これからも挑戦者として一球、一球に食らいついていきたい。直球は155キロを投げたいなと。勝てる投手になりたい。チームを勢いづかせるピッチングをしたいです」と意気込んだ。

 高校野球と大学野球で活躍する「ジェイ」と「ケイ」の大川兄弟。勝負の春を迎える。(柳内 遼平)

 ▼明大・田中武宏監督 投手陣全員のタイプが違いますけど、ホップ率でいったら、やっぱり大川が一番あると思う。打者の目からは違って見えるでしょう。一番体力がなかったんですけど、この2年間で成長していますね。

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