西武国際部の“圧勝劇” 5年ぶりの頂点へフロントは本気

[ 2023年12月28日 07:30 ]

西武入団が決まったヘスス・アギラー(AP)
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 数日前、ある米球界の関係者が言っていた。「日本の西武ライオンズは、日米球団で競合した選手を軒並み獲得していった」と。

 黄金期復活を目指す西武は、今オフに4人の新外国人(投手2、野手2)を迅速に補強した。今季在籍した5人中、4人を入れ替えるなど、19年以来5年ぶりとなる覇権奪回を見据えて積極的に動いた。

 一番の目玉は前マーリンズ傘下でメジャー通算114本塁打のアギラだ。体重125キロの巨漢スラッガーはブルワーズ時代の18年に35本塁打を放ち、同年は初めてオールスター戦に選出。メジャーで5度の2桁本塁打を誇る右の長距離砲だ。さらに、左の大砲として前ヤンキースでメジャー通算27発のコルデロも獲得。渡辺久信GMは「足りないピースだった。コルデロも含めて一発で雰囲気を変えてくれる」とチームの課題である得点力(90本塁打、435得点はともにリーグワースト)を左右の大型助っ人で解消していく。

 投手は守護神候補として獲得した前ヤンキースの最速163キロ右腕・アブレイユが魅力的だ。昨年はヤ軍のブルペンを支え45試合に登板した剛腕。他のメジャー球団からもオファーがあったが、西武が先手を打って争奪戦を制した。セットアッパーが有力な最速159キロ左腕・ヤンも獲得。今季は中継ぎの柱だった森脇が右上腕、佐々木は左肘を手術。ともにこのオフに育成再契約となって来季中の復帰は不透明な状況で、左右の剛腕への期待は大きい。

 近年は他球団よりも素早い外国人補強が目立ち、今年も迅速に4人の獲得に成功。特にコルデロとアブレイユは移籍金が発生する40人枠を外れた直後という、絶妙なタイミングでオファーをかけて獲得した。渡辺GMは「非常に思った通りの補強ができた。外国人を獲得するにあたってはタイミングもあるが、いいタイミングで動いてくれた。うちの渉外担当、並びに国際部に感謝しています。いい仕事をしてくれました」とスタッフの働きぶりを高く評価する。

 年俸はアギラが2億1000万円、コルデロが1億円、アブレイユが1億5000万円、ヤンが7500万円で計5億3500万円となった。主砲の山川はソフトバンクにFA移籍したが、優勝に向け示したフロントの本気度。あとは現場が結果につなげるだけだ。(記者コラム・福井 亮太)

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