目を輝かす球児 至近距離で社会人のノック体感 大田スタジアムとJABA東京都連盟の野球振興イベント

[ 2023年7月4日 10:20 ]

社会人野球チームの試合前ノックをネット越しに見る大田区安方中軟式野球部ナイン
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 【伊藤幸男の一期一会】ネットにしがみつき目を輝かす球児に、記者歴30年の私もうなった。「こんな方法があるとは」。野球の魅力を再発信するイベントに一票を投じたい。

 2日に東京・大田スタジアムで都市対抗野球(14日開幕、東京ドーム)に東京都代表で出場する4チームの壮行試合が行われた。第1試合と第2試合の合間を利用し、地元の幼児がグラウンドを走り回る。ここまではよく見る光景。驚いたのは次の瞬間だ。

 開始30分前に突然、打撃ケージが設置される。フリー打撃はとっくに終了。?と思っていると大田区立安方中の軟式野球部員18人がケージ内に足を踏み入れ、ネット最前列に陣取る。安全対策を確認した上で明治安田生命、東京ガスによるシートノックがスタート。「スゲエ」「エグい」。ノッカーの繰り出す打球を難なくさばく両チームのグラブさばきに感嘆する子供たちは、室内ブルペンへ移動。先発投手の直前ウオーミングアップを目に焼き付けた。「僕らとボールの質が違う」。貴重な体験はアッと言う間に終わった。

 今回の仕掛け人は大田スタジアムとJABA東京都連盟。大田スタジアムの三塚仁所長(53)が説明した。「連盟から“試合直前の選手の動きを間近で見て欲しい”と申し出があり、我々もありがたいこととお受けしました」。連盟は壮行試合、球場は無料の公開試合として開催しつつ、地域住民に社会人野球を体感してもらうイベント実施に至った。

 至近距離でノック、投球練習を見守った安方中ナインも感嘆した。高橋大遙主将(ひろはる、2年)は「やっぱり迫力がありました。ボクたちがやっている野球とは次元が違う」。引率した佐藤創教諭(44)も「社会人野球のレベルに驚き刺激を受けたみたいです。これからの学校生活に生かしてほしい」と感謝した。

 スタンド観戦に加え、野球の魅力をビジュアルで訴える粋な試み。大田スタジアムと連盟の斬新な発想に、拍手を送った。

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