大学生1年生右腕が衝撃の162キロ! 大谷超え狙える「怪物」東北福祉大・堀越啓太、ラプソードで計測

[ 2022年12月28日 05:00 ]

東北福祉大・堀越
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 大学球界の新星が覚醒だ。東北福祉大の1年生右腕・堀越啓太投手(19)が最速162キロをマークしたことが27日、分かった。非公式ながらプロ野球日本投手歴代最速の大谷翔平投手(28=現エンゼルス)の165キロ、2位のロッテ・佐々木朗希投手(21)の164キロにも迫る球速。最速147キロだった花咲徳栄(埼玉)時代は無念のドラフト指名漏れを経験したが、1年で15キロ球速アップを果たし「大谷超え」も視野に捉えた。

 忘れられない一球がある。堀越が中1だった16年10月16日、埼玉県飯能市の実家で見ていた日本ハム―ソフトバンク戦。大谷翔平が計測した日本人最速165キロ。テレビの前で「世界レベルだ」と衝撃を受け「自分には無理だ」と思った。

 それから6年。大谷との距離は確実に近くなった。茨城県つくば市のトレーニング施設での22日の自主トレ。スリークオーターの右腕をしならせると、測定分析機器ラプソードで162・4キロを計測した。「生涯で目指す数字と考えていた」という大台を160・4キロ、160・2キロと3度も叩き出した。

 埼玉の名門・花咲徳栄では、最速147キロ右腕としてプロ注目の存在だったが、昨秋のドラフトでは無念の指名漏れ。進学した宮城の東北福祉大では救援右腕として1年春からリーグ戦に登板し、最速155キロを計測した。今年はリーグ戦通算8試合で10回1/3を投げ17奪三振をマークして防御率0・87。全国デビューした6月の全日本大学野球選手権では、大会最速の154キロで注目を浴びた。西武時代、外野手として活躍した大塚光二監督の「彼は怪物。160キロは多分いくと思う」という予言が的中した。

 約1年での球速15キロアップ。花咲徳栄で引退後に行っていた自主練習が転機となった。30メートルの距離で行う「バレーボール投げ」だ。野球のボールよりも大きなバレーボールは握ることができないため、肩や腕に頼らず全身を使わないと遠く、強く投げることができない。これにより大胸筋など大きな筋肉のパワーを生かす体の使い方のコツをつかんだ。さらにロッテ・佐々木朗を参考に、足を高く上げるフォームに変更。爆発的な力をボールに伝えるすべを身につけ、球速アップにつなげた。体重も高校時代の87キロを、一時は92キロまで増量しパワーアップ。ただ、効率のいいフォームを手に入れ、現在は2キロ減の90キロでも球速は伸び続けている。

 手応えの162キロ。「試合で見てもらいたい。勝利が一番大事だけどホームランや球速は勝敗を超えて魅力的なもの」。6年前に「自分には無理だ」と思った少年が、夢を与える存在になる。(柳内 遼平)

 ◇堀越 啓太(ほりこし・けいた)2003年(平15)7月15日生まれ、埼玉県飯能市出身の19歳。加治小2年時に飯能リトルで野球を始め、加治中時代は所沢南リトルシニアに所属。花咲徳栄(埼玉)では2年秋からベンチ入りし、甲子園出場はなし。球種は直球、スライダー、フォーク。50メートル走6秒6。遠投110メートル。1メートル84、90キロ。右投げ右打ち。

 ▽ラプソード シンガポールに本社を置くラプソード社が開発した3Dトラッキングシステム。レーダーとカメラを組み合わせ、詳細なデータを測定。ピッチング用は球速やボールの回転数、回転軸、変化量などを即座に数値化することができる。MLB全30球団が導入しており、パドレスのダルビッシュは個人で購入し、自主トレなどで使用。日本でもNPB球団や筑波大などのアマチュアチームでも活用されている。

 ≪10球お願いも…7球で手が真っ赤になり降参≫11年から16年までNPB審判員を務めた記者は当時、日本ハムに在籍していた大谷(現エンゼルス)を名護キャンプのブルペンで、2軍戦のウエスタンリーグではソフトバンク・千賀(現メッツ)を球審として判定した。堀越のキャッチボールを見て「ジャッジ魂」に火が付き、相手を務めていた神田幸聖マネジャーと交代。「10球でいいので力を入れて投げてみて!」。1分後、この言葉を後悔した。5球も受けると左手は悲鳴を上げて真っ赤に。しかも直球はナチュラルに変化してグラブの芯で捕ることすらできない。痛みに耐えきれず7球目で「もう大丈夫!」と降参した。(アマチュア野球担当・柳内 遼平)

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