映画みたいな野球人生 主演「鷹の天才・上林」が見せる~10年目、絶望からの完全復活編~

[ 2022年12月22日 08:00 ]

黙々とティー打撃を行う上林(撮影・中村 達也)
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 「七転び八起き」。何度、心が折れても屈することなく立ち上がる。この言葉が似合う男がソフトバンクの上林誠知外野手(27)。完全復活が待たれる天才は今、人生最大の大逆転劇を思い描いている。

 今季は開幕スタメン入りを果たし、打率3割台をキープも、5月18日西武戦の試合前シートノックで右アキレス腱を断裂。またしてもケガに泣き、一瞬にしてシーズンが終わった。

 6月13日。入院中の上林に電話をしたことがあった。松葉づえ生活で満足に歩けない日々。奮闘するナインの輪に加われない屈辱を味わっていた。それでも、電話越しに返ってきたのは頼もしい言葉だった。

 「現実的に絶望だけど、俺の中では絶望じゃない。神様はどれだけ試練を与えるんだと思うけど、俺は何度でも立ち上がるよ」。心配無用だった。全治7カ月以上を要する大ケガも、心の灯火は消えていない。

 グラウンドに立ってさえいれば――。そんな声が周囲から聞こえてくる。18年は143試合出場で打率・270、22本塁打。走攻守そろった外野手は侍ジャパンにも選出され、鷹のホープだった。しかし、19年に死球で右手甲骨折。21年も死球で右肩骨折。そして、今季は選手生命を脅かす右アキレス腱断裂など離脱は数知れず。「ケガをしすぎて免疫がついたよ」と前を向くが、壮絶なリハビリ生活を過ごしている。

 今はどん底かもしれないが、上林には自分を客観視できる強みがある。「ネガティブになっても好転しない」と言い聞かせ、決して下を向かない。向いている暇がない。

 「また進化できる時間ができた。将来に映画化できるような人生を歩んでいけばいいのよ」

 “らしい”表現だった。映画には起承転結がつきもの。プロ4年目から派手に登場したバットマン。しかし、一筋縄でハッピーエンドに向かわないのが映画の醍醐味。今は「転」かもしれないが、もがき苦しんだ先に笑顔の「結」が待っているはずだ。来季は節目の10年目。上林の~完全復活編~が幕を開ける。(記者コラム・福井 亮太)

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