阪神・近本“勝手にヒットになる”達人の領域へ 目指すは来季200安打、5年目球団最高年俸で更改

[ 2022年12月8日 05:15 ]

2年連続で獲得したゴールデングラブ賞の記念タオルを手にガッツポーズの阪神・近本(撮影・北條 貴史)
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 阪神・近本光司外野手(28)が7日、兵庫県西宮市内の球団事務所で交渉し、2000万円増の年俸1億7000万円で契約を更改した。5年目年俸としては球団最高額。200安打を目標に掲げる来季に向けて思考を超越した打撃を思い描いた。独特の感性で目指す“達人”の域とは…。

 近本は年俸1億7000万円での契約更改について「(球団から)入団から4年続けて成績を残してくれた、と言葉をかけてもらった」と説明した後、約30分にわたって打撃論に熱を込めた。特に11年マートンに並ぶ30試合連続安打の球団記録を達成した5月28日~7月6日までの40日間を「収穫はあったが、足かせになって、マイナスな面に働いたこともあった」と表現した。

 「1日1本は打ちたいと思っていた。それを達成しちゃうと…。自分の良さである固め打ちにつながらなかった。調子としては上がってこなかった」

 確かに30試合のうち3安打が4度、2安打が9度で、残る17度は1安打が占めた。

 「結果を見れば(安打は)続いても、成長の幅は結構狭い。“こうやりたい”と思ってできたら、それまで。イメージしたヒットを打っても、あまり楽しくない。違う動きができたときは、うまく使えるようにしていきたいし、それが新しい成長につながる。凡打でも、ファウルでもいい。今までしないような空振りが出ると、逆に楽しい」

 2年ぶり3度目の盗塁王を奪い返し、ベストナインとゴールデングラブ賞は2年連続。中でも昨季最多安打などプロ4年間で既に630安打を積み上げた打撃は達人の域に近づいてきた。高みを見据えるからこそ、究極の理想がある。

 「状態がいいと、気付かずに打ち終わっているときがある。考えていない。思考を行動が超える。僕は“認知を超える”と言っていて、そういったプレーをもっと増やしていきたい。勝手にホームランになるとか、勝手にヒットになるとかの方が楽しい」

 考えるよりも先に体が動いてバットを振る感覚か。二刀流の剣豪だった宮本武蔵も晩年は刀を必要としない無刀の境地に達したという。同様に近本しか見えない、触れられない領域があるのだろう。

 岡田監督から1番固定の方針を示された来季は200安打が目標の一つ。「つくり上げるみたいな感じ。投手と対戦する中で自分自身をつくり上げていきたい」。独特の言い回しで決意を込めた。(長谷川 凡記)

 《藤浪の記録を更新》近本(神)が1億7000万円で更改。5年目の年俸としては、17年藤浪の1億6000万円を抜いて球団最高額となった。ただ、藤浪は4年目の16年に1億7000万円へ到達。同年オフに減額更改していたことで、今回の近本が上回った。

 《WBC「自分はまだまだ」》近本は来年3月開催のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)出場については「客観的に見て自分はまだまだ。日の丸を背負うとかは全然考えられないので、もっと自分を伸ばさないといけない」と表情を引き締めた。侍ジャパンに初選出された11月の強化試合は出場3試合で打率・231(13打数3安打)。外野手枠の選考は激戦でもあり、参戦準備より自己鍛錬に目を向けた。

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