「40歳までやりたい」ソフトB・松田、今季限りで退団 王会長も現役後押し「好きならばやり切りなさい」

[ 2022年9月29日 04:45 ]

退団会見を行う松田(撮影・中村 達也)
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 鷹一筋17年の「熱男」が新天地を求める。ソフトバンクは28日、松田宣浩内野手(39)と来季の契約を結ばないと発表した。松田は現役続行を希望し、同日にペイペイドームで会見。「40歳までやりたい」と強調し、移籍対象をNPBに絞ってオファーを待つことを明言した。今季は出場機会を減らし、43試合の出場。本塁打後の「熱男パフォーマンス」で盛り上げてきたムードメーカーが、重い決断を下した。

 退団会見に黒スーツ姿で臨んだ39歳はすがすがしかった。「40歳までやりたい気持ちは強い」。松田は壇上で背筋を伸ばし、現役に食らい付く決意を明かした。

 「ホークスのユニホームを着てプレーするのは今シーズン限りとなりました。17年前に入団し、ホークスで終わるのが理想だった。ホークスは人生そのもの」。17年目の今季。三塁手で開幕スタメンも、43試合の出場で20安打、7打点、打率・204。魅力でもある本塁打はプロ入り後初めて0本だった。

 ムードメーカーを期待されたが「ずっとレギュラーだった立場。正直、ベンチに座っているのきつかった」。出場選手登録を抹消された8日の前日7日に球団から来季構想外を伝えられた。引退か、他球団で現役続行かの二択を迫られた。柳田、今宮、中村晃には「最後まで頑張って。たぶん上がることはない」と伝えていた。

 藤本監督と王貞治球団会長とも話し合った。王会長には「好きならばやり切りなさい。まだまだやれるならやりなさい」と後押しされた。9日から筑後のファーム施設で調整開始。「40歳までやるための技術を身に付けよう」と入団時に言われた指導者の言葉と、守備練習での泥の味を思い出した。外野の守備練習も再開。「体もどこも悪くないし大好きな野球を続けたい」。11連戦の最終日となった20日、退団と現役続行を球団に伝えた。

 通常はレギュラーシーズン終了後からクライマックスシリーズ開始までに発表される退団だが、功労者だけに“退団試合”を10月1日にタマスタ筑後で行われるウエスタン・リーグ中日戦に設定。球団は同2日のシーズン最終戦前の発表をNPBと選手会に提案し、了承された。

 「ほかの選手より経験できた。ベテランが重要、ベテランなのに元気というところを必要としてくれるのであれば、そこに行きたい」。来季は40歳シーズン。独立リーグや12球団合同トライアウトは考えず、NPB限定でオファーを待つことを明言した。

 小学6年生の長男・一冴(いっさ)くんの存在も現役続行を決断する理由になった。ホークスジュニアチームにメンバー入り。左打ちの柳田ファンだが「一生懸命、家でバット振って必死に練習している。父親としてプロで野球している姿を見せていきたい」。通算2000本安打まで169本、通算1000打点までは「9」と迫る。「2000本は特に意識はない。とにかく野球がしたい。1000打点できたら幸せだなと思います」。松田は完全燃焼していない。(井上 満夫)

 ◇松田 宣浩(まつだ・のぶひろ)1983年(昭58)5月17日生まれ、滋賀県出身の39歳。岐阜・中京から亜大を経て、05年大学・社会人希望枠でソフトバンク入団。08年にレギュラーに定着し、11、13~19年にゴールデングラブ賞、18年にベストナイン。昨季9月29日の西武戦で通算300号を達成。今季は開幕戦で「7番三塁」でスタメンも出場機会が減り、9月7日の楽天戦での代打出場がソフトバンク1軍最後の打席となった。今季は43試合の出場で打率・204、7打点。通算成績は1910試合で1831安打、301本塁打、991打点、打率・265。13、17年WBC日本代表。1メートル80、86キロ。右投げ右打ち。

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2022年9月29日のニュース