【昭和の甲子園 真夏の伝説(10)】怪物1年生告げた王者交代 日本がKKを知った準決勝・池田―PL
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甲子園の熱い夏が始まった――。第104回全国高校野球選手権が6日に開幕。幾多の名勝負が繰り広げられた聖地で、今年はどんなドラマが生まれるのだろうか。今回は「昭和の甲子園 真夏の伝説」と題して、今も語り継がれる伝説の試合を10回にわたってお届けする。
~水野と桑田 聖地で交錯した1時間25分~
甲子園という夢舞台。時代と主役が入れ替わった大一番がある。1983年(昭和58年)8月20日、65回大会準決勝。池田―PL学園。やまびこ打線を擁し夏春連覇の最強軍団と1年生投手&4番で挑む大阪の強豪との対戦だ。後にともにプロ野球巨人からドラフト1位指名される水野雄仁(現巨人スカウト部長)と桑田真澄(現巨人コーチ)が聖地で初めて交錯した1時間25分のドラマは試合前には誰ひとり予想しない結末となった。
甲子園の熱い夏がやってきた。今年はどんなドラマが生まれるのだろうか。「昭和の甲子園 真夏の伝説」と題して、今も語り継がれる伝説の試合を10回にわたってお届けする。
~15歳の1年生が“絶対王者”から放った衝撃の1発~
聖地に響き渡った金属音は「時代の変わり目」を告げる音だった。準決勝第1試合。甲子園は満員の観衆を飲み込んでいた。お目当ては史上初夏春夏の3連覇へ進撃する徳島県立池田高等学校。エース水野はまぎれもなく甲子園のスーパースターだった。
初回、池田はPLの1年生エース桑田を攻めた。2死から江上光治、水野の連続安打で一、三塁。5番・吉田衡は桑田への痛烈なゴロ。桑田の絶妙なグラブさばきで先制はならなかった。2回、水野は小島一晃の右中間二塁打で1点を失う。打席には8番の桑田。1メートル75、70キロ。昭和43年4月1日生まれ、15歳になってからまだ4カ月しか経っていない細身な少年を2ストライクに追い込んだ。3球目は内角高めの速球。空振りを取るはずが、打球は「キン」という快音を残して左翼スタンド中段に飛び込んだ。まさかの2ラン被弾。ノーマークの1年生に痛烈なパンチを浴びたチャンピオンの顔がわずかに歪む。動揺はなかったが、続く9番・住田弘行にもスタンドに運ばれてしまう。何かが違う。甲子園で大暴れしていた阿波の金太郎から笑顔が消えた。
~死角無し…前年悲願の夏制覇 センバツでは防御率0.00~
池田は前年1982年夏の大会でエース畠山準(元南海、横浜大洋など)の快投とやまびこ打線と称される圧倒的な攻撃力で早実・荒木大輔(元ヤクルト)らを粉砕。悲願の甲子園Vを果たした。2年生の水野は左翼で5番。26打数12安打7打点、2本塁打、打率.462と大活躍。夏春連覇を目指したセンバツではエース&4番として聖地に戻ってきた。5試合を投げて防御率0.00。22打数10安打10打点、打率.455と投打で大車輪の奮闘。史上4校目の夏春連覇を成し遂げ“高校野球の顔”となった。
82年夏の徳島大会から数えて公式戦33連勝で乗り込んだ2度目の夏。史上初夏春夏3連覇を目指す道のりは楽ではなかった。太田工(群馬)高鍋(宮崎)には圧勝したものの、3回戦広島商戦、水野は左耳上部に死球を受ける。「当たった方と反対の右耳の耳鳴りがやまないし、腕にも力が入らなかった」。7―3で勝ちきったが勝利インタビューを座ったまま受けたほど状態はよくなかった。準々決勝の相手は中京(現中京大中京=愛知)。エース野中徹博は秋のドラフトで阪急(現オリックス)から1位指名を受ける豪腕だった。「事実上の決勝戦」といわれた一戦、水野は頭部死球の影響から集中力を欠きながら8回1失点。野中との投げ合いが続いた。9回、池田は7番・高橋勝也が野中から左翼スタンドへ会心の1発。4強へ駒を進めた。水野は中京戦後、4強に進むと見られる顔ぶれを見て、PL学園との対戦を望んでいたという。久留米商(福岡)は招待試合で苦戦した記憶があり、横浜商(神奈川)はセンバツ決勝の相手。1年生エースで不安定な戦いが続くPLが与しやすいと感じていた。
~公式戦デビューはわずか25日前の公立校戦~
桑田の公式戦デビューは25日前の7月26日の大阪大会4回戦。相手は公立の実力校・吹田だった。中村順司監督の口から1年生投手の先発が発表されるとチーム内の空気は一変した。桑田氏は2008年スポニチ本紙の連載でこう語っている「僕が先発と聞いて他の選手はみんな怒った。当然だよね。僕が3年生だったとしても怒るよ。『誰かのせいでおれの青春が終わった』試合前のベンチ裏でも露骨に避けられたりした」。不安を抱えながらブルペンに入った桑田だったが、1球目を投げたところで手応えがあった。「中学時代に優勝していた時のボールがダンッとよみがえった。アウトロー、構えたところにキュン、インハイにキュン。これなら抑えられる。初回を抑え、2回、3回を抑え…。最初は知らんぷりだった野手が変わってきた。『頑張れ!』5回を0点に抑えた時点でみんな『頼むぞ』と。そしてその試合を完封したんです」。吹田に6―0で勝利。その後も大阪大会を勝ち進み、同31日の決勝戦で桜宮を撃破。甲子園出場を決めた。桑田はリリーフとして最後を締めている。
甲子園初戦、8月11日の所沢商(埼玉)戦は5安打2失点で完投勝利。中津工(大分)は完封。高知商には試合中、打撲のため右手指がしびれ5回途中5失点と苦しんだが、準決勝に進んだ。
~やまびこ打線の奮起信じた「攻めだるま」~
2回に4点を失った池田だったが、蔦文也監督は表情を変えなかった。やまびこ打線が爆発すれば…。3回無死一塁。金山光男の送りバントは二塁封殺。3番・江上は桑田のカーブにタイミングを外されニゴロ併殺に倒れる。その裏、1点を追加されて迎えた4回、先頭の水野が四球で出塁。だが5番の吉田がまたもカーブを引っかけ遊ゴロ併殺。背番号11の1年生に史上最大の破壊力と称された打線が手玉に取られた。9回、池田は主将・江上が左飛。4番・水野が中飛。最後は代打・増富が遊飛に倒れゲームセット。池田の3連覇の夢ははかなく消えた。
~清原4三振斬りも水野敗退 桑田は一気に頂点~
この試合、水野はPLの4番・清原和博から4三振を奪い格の違いを見せつけている。それでも桑田に完敗。「8回、スコアボードの両校校旗が終了準備のため降りたとき『ああ勝てないかも知れないな』と思いました」といい寂しそうな顔で甲子園を去って行った。
桑田は「打たれて元々、打ったヤツが偉いんやと思って投げ続けました。決勝戦、きょうと同じように何も考えずに向かっていくだけです」。翌8月21日の決勝では横浜商(神奈川)を7回途中まで零封。深紅の大旗をつかんだ。準決勝で水野に叩きのめされた清原は決勝の舞台で左翼へ決勝アーチ。やまびこ打線から主役の座を奪ったKKコンビは春夏合わせて5度出場した甲子園で優勝2度、準優勝2度、4強1度の金字塔を打ち立てる。桑田は通算20勝。清原は同13本塁打。昭和、平成から令和。2人の通算記録を上回った選手はまだいない。
~水野、野中、三浦、桑田の4本柱 主砲に池山~
〇…大会後、米国西海岸・ハワイ遠征メンバーが発表された。桑田は選出されたが、1年生大砲として注目された清原の名前はなかった。メンバーの投手では水野がこの年のドラフトで巨人1位。野中は阪急1位。準優勝の横浜商・三浦将明が中日3位。野手では市尼崎の3番・三塁の大砲・池山隆寛がヤクルトに2位指名された。この大会に出場しプロで活躍した主な選手には3球団競合で近鉄に1位指名された創価の小野和義、90年代前半の阪神エースとして活躍した興南の仲田幸司、日米通算121勝の箕島・吉井理人、常勝西武で活躍した吉田の田辺徳雄らがいる。
【昭和58年出来事】2月=青木功ハワイアンオープンV、PGA初制覇 4月=東京ディズニーランド開園 9月=大韓航空機撃墜事件▼プロ野球=セ巨人、パ西武▼ヒット曲=「矢切の渡し」「め組のひと」
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