中畑清氏 日本ハムに浸透してきた新庄野球の今後が楽しみ

[ 2022年5月31日 05:30 ]

日本ハムの新庄監督
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 【キヨシスタイル】交流戦に入ってテレビの前でくぎ付けにされた試合がある。24日のヤクルト―日本ハム戦だ。1―1で延長戦に突入。10回無死満塁のピンチをしのいだヤクルトが11回、村上の2ランでサヨナラ勝ちしたんだけど、敗れた日本ハムの新庄監督が拍手をしながら笑顔で選手を迎えているんだ。

 もちろん勝利を目指して戦うんだけど、勝つことが全てじゃない。負け試合でも全力を出し切った結果ならファンも納得してくれる。そう評価して、選手をねぎらっているんだ。長嶋さんがそうだったんだよなあ。

 翌25日は4―4で迎えた9回に2点を勝ち越しながら、その裏に山崎の逆転3ランで連夜のサヨナラ負け。それでも野球の神様は見てるんだね。26日は2点を追う9回に万波、アルカンタラの連弾で追いつき、延長10回に一挙4点を奪って3連敗を免れた。

 ヤクルトとの激闘3連戦を終え、札幌へ戻った27日の巨人戦。3回1死三塁の先制機での勇気ある作戦には驚いたね。打者・中島のカウントが3―2になって、それまでゴロゴーの気配すら見せなかった三塁走者の水野がスタート。何とヒットエンドランをかけ、中島の一ゴロで先制点をもぎ取ったのだ。リスクのある大胆な策。新庄監督の野球を選手が理解し、チームに浸透してきているのを感じたね。

 集中力を欠いた凡ミスには厳しいけど、積極的にプレーした結果のミスはとがめない。その効果がはっきり表れているのがチーム本塁打。昨季はリーグ最少の78本しかなかったのに、今季は目下リーグ最多の46本。ファーストストライクから積極的に打ちにいっている結果だ。

 開幕当初の日替わりオーダーが、ここにきて固まりつつある。投高打低でパ・リーグに3割打者が2人しかいない中、断トツの高打率.383を誇る松本剛が1番に収まれば、4番は4年目の野村。捕手が宇佐見に落ち着いてきたのも大きい。浅間や万波、新人の上川畑、水野も何かやりそうな雰囲気を持っていて、楽しみなチームになってきている。

 最大14まで膨らんだ借金は9。「今年1年はトライアウト」というフレーズはもう封印してもいいんじゃないかな。(スポニチ本紙評論家・中畑 清)

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2022年5月31日のニュース