亀山つとむ氏 阪神は豊臣秀吉流に――ベンチが走らせ振らせ波を!スモールベースボールのすすめ

[ 2022年5月13日 05:30 ]

亀山つとむ氏
Photo By スポニチ

 【亀山つとむ 視点】波を起こそう――。スポニチ本紙評論家・亀山つとむ氏が競り負けが続くタイガースに、動いて活路を見いだすススメを説いた。停滞ムードを吹き飛ばすには、ヒットエンドランやバスターなどベンチから強制的に走らせ、バットを振らせることも必要だとした。

 打たぬなら打つまで待とう…の時期は過ぎたので、打たせてみようの豊臣秀吉流に切り替えるのも一つの方法ではないだろうか。チーム打率はリーグ最低の.224で、得点数も同最少の110。これらの数字が急激に改善されるとは思えないので、現状の戦力でどう戦うかを考えたい。

 広島に2連敗した前カードのように競り負けているのが印象的だ。投手陣の崩壊や、明らかに打ち負けているわけではない。追いつき、そしてひっくり返すチャンスは何度もあった。走者は出ても、走者を還せないから重苦しく感じてしまう。

 打てなかったから負けた――。チーム状態が悪いので余計に淡泊に見えてしまうのだが、好調だった昨シーズン前半戦にはあったセーフティースクイズも見られなくなり、動きを感じられない。バスターやヒットエンドラン、バントエンドランのようにベンチが強制的に走らせる、バットを振らせることも現状を打破する一つの選択肢ではないだろうか。

 昨年はマルテやサンズ、佐藤輝など強打で打ち勝ったが、今季は攻撃力を前面には押し出せないことが分かった。ならば広い甲子園を本拠地とするタイガース本来の戦い方に戻すべき。それは守り勝つ野球。といっても投手力は例年どおり悪くなく、近年の課題だった失策数も今季はここまでリーグ最少の16と改善されている。「守ること」はできているものの「守り勝つこと」ができていない要因は攻撃面で、特に、あと「1得点」だ。39試合のうち、18試合が1点差ゲームで5勝13敗。繰り返すが、この「あと1点」を誰かの長打に期待するのではなく、ベンチが選手を動かすことでもぎ取ろうということだ。

 近本と中野が出塁すると、相手バッテリーは当然、警戒を強める。打者を早めに追い込んで、走りにくい状況をつくっているのが目立つ。その中でも中野が8盗塁、近本が5盗塁と頑張っているが、さらにヒットエンドランなどでバットを振ることで打者にも意識を向けさせることができれば、機動力がもっと生きて「走」と「打」がもっとコラボする。

 波は起こすには動かないといけない。ビッグウエーブに乗るには、前に進まないといけない。

続きを表示

2022年5月13日のニュース