三塁に現れた3人の伏兵 野村勇、山田遙楓、平沢大河が熱い

[ 2022年4月25日 13:50 ]

西武の山田(撮影・尾崎 有希)
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 【君島圭介のスポーツと人間】今春のキャンプ取材ではソフトバンク、西武、ロッテの3球団の三塁レギュラー争いに目を奪われた。ソフトバンクには松田宣浩、西武には中村剛也という今年39歳になる不動の存在がいるが、両チームとも昨季の低迷から巻き返すにはベテランを脅かす若手の台頭が必要だった。

 ソフトバンクの藤本監督は5年目のリチャードと2年目の井上朋也を松田に挑ませたが、ここに来て新人の野村勇が24日の日本ハム戦で2本塁打を放つなど急浮上。三塁での先発出場はまだ2試合だが、本来は遊撃、二塁でも通用する高い守備力も合わせ、注目したい。

 西武では渡部健人、ブランドンが中村の壁をなかなか越えられない中、24日の楽天戦で3試合連続適時打を放った8年目の山田遙楓が存在感を発揮している。内野のユーティリティーで、とにかく守備が上手い。練習だけ見ていれば源田壮亮にも比肩する。何より、声。最高の盛り上げ役で、声を出せる選手は強いチームには絶対に必要だ。楽天戦の後、同じ佐賀県出身の辻監督から「盆と正月がいっぺんに来たみたいだな!」と突っ込まれたようにいじられ役も兼ねる。貴重な存在だ。

 ロッテも三塁手を固定出来ない。井口監督が期待し続ける5年目の安田尚憲や新人の池田来翔がいずれも打撃不振。代わって7年目の平沢大河がここまで6試合に三塁で先発出場し、気を吐いている。元気にチームを引っ張るタイプではないが、24日のオリックス戦では先発の佐々木朗希が初回に18イニングぶりの安打を浴びると真っ先に優しい表情で励ます頼もしい姿を見せてくれた。

 三塁の通称は「ホットコーナー」。火が出るような激しい打球が飛んでくることが語源だが、投手との距離の近さからチームを鼓舞する熱いタイプの選手が多い。そして当然ながら打撃力を求められる。セ・リーグでも巨人の岡本和真、ヤクルトの村上宗隆ら強打の三塁手がいるチームは強い。広島は坂倉将吾が捕手兼任ながら19試合に三塁で先発出場して3割を超える好打率を残し、チームの上位定着を支える。

 開幕前、新しいレギュラー三塁手が誕生すればパ・リーグはソフトバンク、西武、ロッテのいずれかが優勝すると予想した。ここまでは絶対的な存在はいない。楽天が首位を走るが、まだ上位は混戦状態。今は野村勇、山田、平沢の3人の伏兵に注目しよう。(専門委員)

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2022年4月25日のニュース