阪神・佐藤輝 甲子園で奇跡の大逆襲号砲や 「4番に一発出れば空気も変わる」井上ヘッドも期待

[ 2022年4月5日 05:30 ]

甲子園球場周辺では桜が見頃。4番・佐藤輝が猛虎を“開花”させる(撮影・大森 寛明)
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 輝弾で低迷打破!セ・リーグワースト記録を更新する開幕9連敗中の阪神は、5日から甲子園開幕となるDeNAとの3連戦に臨む。井上ヘッドコーチは「4番に一発が出れば空気も変わる」と、今季まだ0本塁打の主砲・佐藤輝明内野手(23)の豪快弾に、連敗トンネル脱出の期待をかけた。過去には9連敗から巻き返したチーム、14・5差をひっくり返したチームもある。観衆の入場制限解除後では初となる聖地から、猛虎が奇跡の大逆襲に転じる!

 甲子園に猛虎が帰ってくる。開幕9連敗という悪夢のスタートを仕切り直すのは、やはり、ここしかない。この日、投手指名練習が行われた聖地に姿を見せた井上ヘッドは「輝にプレッシャーをかけるつもりはさらさらない」と前置きしつつ、長すぎる暗闇からの脱出を「4番・佐藤輝」の豪快弾に託した。

 「やっぱり4番を任せている以上、その4番に一発が出れば空気も変わる。約8割方、タイガースファンが埋め尽くしているこの甲子園で(一発が)出ることで、(観衆の)盛り上がりは選手も肌で感じられるだろうし、そういったものも利用できたらな…と」

 ドラフト制以降、球団史上最年少の開幕4番として迎えた2年目。ここまで打率・286ながら、代名詞でもある本塁打はまだ「0」だ。言うまでもなく爆発力はチーム随一。昨季前半戦の快進撃の原動力となったように、その一振りがチームの雰囲気をも変える。それこそが、今の猛虎に必要な要素だ。

 「空気を変えるためにはあいつが打つ…2年目だとはいえ、看板を背負っている自覚というものは輝の中でも多少、感じている部分はあるだろうし。こちら側とすれば4番で任せている以上頼りにもするし、雰囲気をつくるための人材だよとメッセージは送っているつもり」

 “地の利”も23歳の若き大砲の背中を押すはずだ。井上ヘッドは「(本拠地なら)スコアラー室での研究ができ、巡回コーチの藤井さんが遠征先にはいなかったけど、またコミュニケーションを取る上で彼にとってはプラスになるものが出てくる」と続けた。加えて観衆の入場制限が解除されて初の聖地での試合。入場制限下の昨季しか知らない背番号8を、「本来の甲子園」が後押しする。

 甲子園開幕は18年から4連勝中とチームも気合が違う。「本当に負の連鎖を払拭(ふっしょく)する意味合いでは、地の利を生かした形で。この甲子園で『ここなら俺はやれるんだ』という期待をして、明日(5日)から仕切り直し」と井上ヘッド。やはり甲子園は特別だ。開幕9連敗で首位・巨人とのゲーム差は8。それでもシーズンはまだ134試合を残す。球団としては前例のない奇跡の大逆転劇の序章を、聖地から紡ぎ出す時だ。(阪井 日向)

 《9連敗喫しても優勝の例も》阪神は7連敗以上したシーズンに優勝したことはないが、9連敗を喫しながら優勝したのが92年と15年のヤクルトだ。92年のヤクルトは前半戦を首位巨人と1.5差の3位。8月20日には2位阪神に4.5ゲーム差を付けたが、9月5日から18日にかけて1分けを挟んで9連敗。しかし、以降は11勝6敗と復調。終盤で失速した阪神、巨人との三つどもえを制し、就任3年目の野村克也監督が宙に舞った。15年は5月3日に貯金3の2位も、翌4日から16日にかけて9連敗し最下位転落。そこから35試合かけて借金を完済し、優勝争いに復帰した。後半戦は92年と同様に阪神、巨人との争いに。6月以降はすべて月間勝ち越しという安定感が光り、広島以外の5球団が単独首位を経験した異例のシーズンを制した。

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