市和歌山・米田 DeNA・小園先輩の存在が最高の“置き土産”

[ 2022年3月27日 05:30 ]

第94回選抜高校野球大会 ( 2022年3月26日    甲子園 )

昨年の選抜、明豊戦の初回を終え、先発の米田(左)に声をかける小園
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 【秋村誠人の聖地誠論】その存在自体が最高の“置き土産”だったのだろう。市和歌山のエースナンバーを背負う米田天翼(つばさ=3年)にとって、昨年ドラフト1位でDeNA入りした先輩・小園健太投手が成長の源となっていた。

 「テンポの良さ、変化球の精度、マウンドさばき…。全ての要素がそろっている。見習ってやってきた」。絶対的なエースだった小園から多くを学び、吸収してきた。ただ、23日の1回戦で花巻東の怪物2年生・佐々木麟太郎から2三振を奪うなど4打数無安打に抑えた圧巻の投球は、小園から学んだ以上のものを感じさせていた。

 それは、小園がいなくなって市和歌山は弱くなったと言われたくない、という思いではないか。直球で攻め続けたあの気迫。怪物を抑えることが勝利への絶対条件と分かっていたのだろう。市和歌山の背番号1を引き継いだ意地が、その投球からは伝わってきた。

 「スピードガン以上の切れがある」。そう評価した巨人・水野雄仁スカウト部長が、こんな思い出話をしてくれた。「山びこ打線」で一世を風靡(ふうび)した池田(徳島)の中心選手だった水野部長。外野手だった2年の夏(82年)は、エース・畠山準で日本一になった。自身がエースとなって臨んだ翌83年のセンバツ。「エースが畠山さんから代わったから池田は負けた、と言われるのがとにかく嫌だった。打つ方は不調だったので、投げる方に専念していましたね」。決勝で横浜商(神奈川)を2安打完封など圧巻の投球で夏春連覇を達成した。

 米田も同じだ。小園の“置き土産”を力に変えている。昨年のセンバツで小園は2回戦で準優勝した明豊(大分)に敗れた。27日の2回戦、米田はどんな投球を見せてくれるのだろうか。 (専門委員)

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