「取られた点」取り返した近江の覚悟 京都国際の思い背負い攻め抜いた

[ 2022年3月21日 05:30 ]

第94回選抜高校野球大会第2日 ( 2022年3月20日    甲子園 )

<長崎日大・近江>守備位置の指示を出す近江・多賀監督(撮影・大森 寛明)
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 【秋村誠人の聖地誠論】近江ブルーのユニホームをまとった近江ナインに、確固たる意志を感じた。走攻守全てに強い気持ちで攻めていく。コロナ禍で無念の出場辞退となった京都国際への思いからだろう。その意志は6回の守りに見えた。

 スコアは0―0。2死二塁で長崎日大の4番・河村恵太(3年)を迎えて外野陣がかなり前に出てきた。エース・山田陽翔の球威も考えての前進守備。ただ、そこには中軸相手にリスクがあっても「絶対に点はやらない」という覚悟があった。結果は河村に左越え二塁打を浴び、5番・白川輝星(3年)にも右越え二塁打されて2失点。浜風に戻された白川の飛球は、守備位置が少し後ろなら捕れたかもしれない。この2点は、攻めの守りで「取られた点」だったと強く感じた。

 思えば、一昨年11月に他界した名将・木内幸男氏(元常総学院監督)は生前、こんな話をしていた。「甲子園は、あげた点は返ってこないけど、取られた点は取り返せるんだよ」。確かにそうだった。9回の同点劇。1点を返した後、三塁走者のエース・山田が浅い左飛でタッチアップし本塁憤死して2死となっても、8番・大橋大翔(3年)の一打が右前へ落ちて追いついた。山田の走塁も果敢に攻めた結果だ。「取られた点」を取り返して、タイブレークに入った延長13回に一挙4点。長崎日大からすれば、4失点のうち3失点がエラーと暴投による「あげた点」だった。

 代替出場で京都国際の無念を背負い、最後まで攻め抜いた。甲子園は、そんな近江の「覚悟」を見ていたのかもしれない。(専門委員)

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2022年3月21日のニュース