二塁塁審の判定ミスに「申し訳ありません」、球審がジャッジ変更　誠実対応に場内拍手

第94回選抜高校野球大会第2日第1試合・1回戦   広陵9―0敦賀気比 （ 2022年3月20日    甲子園 ）

＜広陵・敦賀気比＞4回無死一塁、広陵・大山が一塁線にバントした打球の判定の誤りを認め場内に説明する尾碕球審（撮影・大森　寛明）
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　広陵－敦賀気比の試合の4回裏、球審と二塁塁審の判定が分かれたことで生まれた「併殺」の判定が覆る事態も起こった。

　異例の光景が甲子園に広がった。1万4000人の観客と両校が注目する中、マイクを手にした尾崎球審は状況を説明し、判定の変更を告げた上で、「大変申し訳ありません」と銀傘に響かせた。場内からは大きな拍手が送られた。

　広陵が2点リードで迎えた4回無死一塁の攻撃。8番・大山陽生（はるき、3年）が一塁線に送りバントを試みた。イレギュラーした打球はファウル地域からフェア地域に転がり、一塁に送球されて打者走者はアウト。一、二塁間で止まっていた一塁走者も挟殺の末にアウトになった。

　珍しい併殺プレーは審判員のミスが誘発した。二塁塁審が打球をファウルと勘違い。本来は球審が判断すべき打球だが、進塁する一塁走者に「ファウル」のジェスチャーで一塁への帰塁を促してしまった。ここで一塁走者が止まり、トラブルの原因となった。

　チャンスが消えた形の広陵側は球審へ確認。4審判員は協議の結果、「1死二塁で再開」と判定を変更した。2死無走者から一転ピンチの敦賀気比は東哲平監督が「こういうケースは初めてだったので」と伝令を介して「なぜ（1死）一塁（で再開）じゃないんですか」と確認。しかし、判定は覆らなかった。尾崎球審の場内放送を経て試合が再開され、結局この回は無得点。敗れた東監督は、判定の変更の影響について「試合の結果には関係ない」と振り返った。

　試合後、窪田哲之大会審判副委員長はオンラインで取材に応じ「混乱をさせてしまったという点は申し訳ない」と謝罪。審判員による謝罪については「過去にも夏の選手権大会で説明の中で謝りを入れたことがある。事後の対応としては良かったのではないか」とした。場内に自然発生した拍手が、一連の対応への好意的な反応を物語っていた。（柳内　遼平）

　▽尾崎泰輔球審の場内放送　ただ今のプレーについてご説明します。打球がイレギュラーバウンドでフェア地域に転がりまして、フェアと判定を致しました。しかしながら、二塁の塁審がそれを誤って、ファウルのジェスチャーをしてランナーを止めてしまいました。守備は捕った打球を、打者走者を一塁でアウトにしようとする守備行為でしたので、私たちの間違いです。（二塁塁審が）止めたランナーに（敦賀気比の）守備の行為がなかったので、二塁へ進めて、1アウト二塁で再開します。大変、申し訳ありません。