元ヤクルト・田川が456日ぶり“ホーム”で2回完全 日立製作所、29年ぶり頂点へ予選L突破

[ 2022年3月9日 05:30 ]

第76回JABA東京スポニチ大会第3日Dブロック   日立製作所2―0西濃運輸 ( 2022年3月8日    神宮 )

<西濃運輸・日立製作所>4番手として登板し、2回無失点の投球を見せた日立製作所・田川(撮影・河野 光希)
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 決勝トーナメントに進出する4チームが決まった。8日に予選リーグ6試合が行われ、日立製作所は、西濃運輸を2―0で下して3連勝(不戦勝を含む)。元ヤクルトで最速150キロ右腕の4番手・田川賢吾投手(27)が、かつての本拠地・神宮で躍動して2回を完璧に封じ、93年大会以来29年ぶり3度目の頂点に向けてチームを勢いづけた。準決勝と決勝は、9日に行われる。

 ユニホームが替わっても、神宮に響く「ピッチャー・田川」のアナウンスは格別だ。2―0の8回。1メートル89の長身右腕が小雨の中を駆けて456日ぶりにこの球場のマウンドへ。「若い投手がつないでくれた。“打たれてはいかんな”と思いながらマウンドに立った」と燃えていた。

 18年のプロ初登板も、20年12月7日に受けた12球団合同トライアウトの舞台も神宮だった。思い出の地で2回を投げ3奪三振を含む完全投球。角度のある直球、スライダーでコーナーを突いた。プロ8年間と、昨年から挑んだ社会人野球で磨いた投球術が光り「高さ、コースを意識して投げられた」と喜んだ。

 20年のシーズン後にヤクルトから戦力外通告を受け、昨年から日立製作所でプレー。1年目から都市対抗に出場したが、2回戦の東邦ガス戦で敗戦投手になり「自分が思っていたよりレベルが高い。“プロから来たから抑えられる”という甘い考えは通じない」と痛感した。悔しさを糧にし「勝ちきる」をテーマに、低めに集める投球を身上にしてきた。

 昨夏に長男・朔太郎(さくたろう)君が誕生し「子供の物心がついて、自分の姿を見てもらうまで現役を続けたい」と新たな目標ができた。5月には28歳になるが「あと何年できるか分からないけど成長していきたい」と、まだまだレベルアップを誓う。

 不戦勝を含む3勝で予選リーグを2位で突破し、決勝トーナメントへ進出。93年以来3度目の優勝を狙う。決勝進出が懸かるJR九州との準決勝へ「勝ちきりたい。優勝できるように頑張りたいと思います」。プロでの登板は通算5試合。ヤクルト時代には貢献できなかった優勝に向けて、力を振り絞る。(柳内 遼平)

 ◇田川 賢吾(たがわ・けんご)1994年(平6)5月22日生まれ、大阪府出身の27歳。天王中ではレッドスターベースボールクラブに所属。高知中央では甲子園出場なし。12年ドラフト3位でヤクルト入りした。NPBでの通算成績は5試合登板で1勝2敗0セーブ、防御率7.16。1メートル89、92キロ。右投げ左打ち。

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