DeNA新加入の大田泰示に再ブレークの予感がする2つの理由

[ 2022年1月12日 13:33 ]

自主トレを行う大田(撮影・島崎忠彦)
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 【君島圭介のスポーツと人間】1つめは軸足を意識している点だ。大田泰示が日本ハムを自由契約となり、高校時代を過ごした神奈川に本拠地を置くDeNAに入団。自主トレに取り組む中で「(軸足の)右足で体重移動する中で粘りがないと力強いスイングができない」と話した。

 実際に練習ではメディシンボールを使って軸足に体重を乗せる動作を繰り返していた。ウエートトレーニングでもそこに意識を置いて長い時間をかけているという。

 落合博満氏は著書「バッティングの理屈」(ダイヤモンド社)の中で「周囲が期待する成績に届かず苦労している選手というのは、99パーセントが軸足に問題を抱えている」と指摘している。昨季は76試合で打率・204、3本塁打と低迷した大田が軸足に着眼したのは吉兆だ。

 巨人では結果が出せずに17年シーズンから日本ハム移籍。その1年目に15本塁打でブレークし、それから4年連続で2桁本塁打を記録した。現中日監督の立浪和義氏は著書「打撃力アップの極意」(廣済堂出版)で大田の潜在能力が開花した技術的理由として、軸足に体重を乗せたあと、前足をステップするときに間が作れていると解説。結果を出せなかったときは「タイミングの取り方に課題があった」と指摘している。大田自身も昨季の不調の原因に気付いているのだろう。

 2つめは打球角度についての考察だ。大田は理想の打球角度を19~20度と設定。それを「僕自身が持っている角度」と説明した。筑波大野球部監督で、スポーツ動作解析の第一人者である川村卓氏は「最新科学が教えるバッティング技術」(エクシア出版)の中で、「我々の計算では最も理想に近い飛び出し角度は30~35度」と明かしている。

 ところが川村氏は大リーグの本塁打における16年の統計では25~30度のライナー性の打球が増えていると指摘した。ツーシームなど手元で変化する球が主流となったことが要因だろう。

 興味深いのは川村氏の研究ではキューバ代表の打者の打球角度は平均値で7・2度(日本が12・8度、米国が12・6度)であったこと。これはキューバ選手が効率よく打球にエネルギーを伝えている証だ。デスパイネ、グラシアル、ビシエド、マーティン・・・。近年の日本プロ野球に適応して結果を残した外国人にキューバ生まれが多いのは偶然ではない。そう考えれば、大田の理想とする打球角度はきっと再ブレークの礎になる。(専門委員)

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2022年1月12日のニュース