日本ハム・新庄再生工場なるか?合同トライアウト視察 独特の視点で選手チェック

[ 2021年12月9日 05:30 ]

12球団合同トライアウト ( 2021年12月8日    メットライフD )

トライアウトの視察に訪れ、取材に応じる日本ハム・新庄監督

 戦力外になった選手らを対象とした12球団合同トライアウトが8日、メットライフドームで行われ、日本ハム・新庄剛志監督(49)が稲葉篤紀ゼネラルマネジャー(49)らと視察に訪れた。昨年は自身が選手として参加した場で、33人の参加者に熱視線を送った。有望な選手を発掘し、恩師の故野村克也氏ばりの「再生工場」となるか、注目だ。

 やはり目のつけどころが違う。新庄監督は白のタートルネックのセーターに白のダウンコート、黒の革ズボンと、ひときわ目立つファッションで登場。バックネット裏から熱い視線を注いだ。

 「少しでもいいところ、細かいところまで見ていた。面白かった」。昨年、現役復帰を目指すと宣言して立った舞台。1年がたって監督となり「不思議だなあ、人生って」と、改めて自らの現在地に思いをはせた。気温9度の寒さの中、12球団の指揮官で視察したのはただ一人。一塁までの到達タイムを細かくチェックするなど、午前10時のシートノック開始から約4時間、じっと椅子に座り、真剣な表情で目を光らせた。

 3年連続Bクラスからの逆襲に不可欠な「発掘」作業。阪神時代の恩師の故野村克也氏と同様、大切にしているのは選手の可能性だ。「実力はある。何かをきっかけに変えられる」。野村氏のような「再生工場」へ。新指揮官は独特の視点で選手の能力を見極めた。

 (1)結果は度外視 打者には「打席の中の結果はどうでもいい」と新庄監督。「いかに早いタイミングを取って、見極めて、ぶわっと振れるかを見ていた」。大切なのは「間」。投手に対しても「(自身が)打席に入って、どうタイミングをずらされるのか」に視点を置いた。

 (2)足と肩 俊足好守で鳴らした自身の現役時代のように「足の回転」に着目。「足の速い選手と肩の強い選手は衰えがない。まだ若いしね」。同時に積極的な走塁も求め「スタートのステップも見ていた。(走者で)打球が当たる前にスタートを切っている選手が少ない。2人、しっかり切っている選手はいた」と話した。

 (3)準備からのアピール 「ウオーミングアップでも足の回転を見れば“面白い”って。キャッチボールでも(投げているボールを見て)“ん?”ってなる」。奇想天外に見えて実は緻密な新庄監督の思考だ。

 この日は元阪神・高野、前オリックス・金田、前巨人・山下、元楽天・中村と4人の具体名も挙げた。「選手の気持ちが分かる。全員欲しい。一人でも多く獲りたい」。ビッグボス流のチームづくりは着々と進んでいる。(鈴木 勝巳)

 ▽12球団合同トライアウト 日本プロ野球選手会からの要望を受け、2001年にスタート。参加資格はNPB12球団を自由契約になったことがある選手で、19年から参加回数が2度までと上限が設けられた。14年までは2日間、会場を変えて行われていたが、15年以降は年1回のみ。シート打撃形式で行われ、会場には12球団のほか、独立リーグや社会人チーム、海外球団のスカウトも視察に訪れることができる。

 ▽新庄監督の昨年トライアウト 19年11月13日に翌年のトライアウト受験を宣言。20年12月7日に56選手のうち最年長の48歳で参加した。二ゴロ、四球、二ゴロの2打数無安打で迎えた最終打席で、元ヤクルトの左腕・ジュリアスのチェンジアップを左前適時打。またシートノックでは、本来の外野ではなく三塁、試合形式では一塁、三塁、二塁、中堅を守ったが、守備機会はなかった。終了直後に「6日間でオファーが来なかったら野球は終わり。きっぱりやめます」と話し、13日に自身のインスタグラムで現役復帰断念を発表。「1%の可能性を信じてきたが、今日0%になりただただ悔しいし情けない。身の程を知りました!」「しかしいくつになっても挑戦した自分に悔いなし!」とつづった。

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