漫画「ドラフトキング」について作者のクロマツ氏とロッチ・中岡とスポニチ後藤がぶっちゃけトーク!
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今年もプロ野球ドラフト会議は大いに盛り上がった。数々のドラマに心躍ったが、集英社「グランドジャンプ」で連載中の漫画「ドラフトキング」で描かれる世界観も大きな反響を呼んでいる。現在コミックスは9巻まで刊行され、そのリアルな内容は必読。注目のスカウト譚「ドラフトキング」について、作者のクロマツテツロウ氏(41)、お笑いコンビ「ロッチ」の野球好き芸人・中岡創一(43)、本紙スポーツ部野球担当の後藤茂樹デスク(43)が熱く語り合った。
後藤 本日はよろしくお願いします。中岡さん、作品を読んだ感想は。
中岡 クロマツさんがめちゃくちゃ野球が好きなんだろうと一発で分かりましたよ。僕も松坂大輔世代の時からドラフト会議が面白いなと思いました。雑誌の「野球小僧」を手に取って。松坂投手はもう(西武に)入っていて、和田毅投手たち同世代の凄い選手が大学からプロに入って、今度は松坂投手と戦うんだって。ワクワクがあってドラフトにハマったんですが「ドラフトキング」はその裏側がめちゃくちゃ見えるので、面白いですね。
クロマツ 僕は松坂世代の1つ上なんですよ。〝裏松坂世代〟って言われるんですけれど。僕らの代って、甲子園に出ているメンバーは2年生が多くて。自分は(西の京高校時代)奈良大会で春は郡山、夏は天理に負けたんですが、相手はほとんど2年生チームでしたね。立ち直れないくらいで、松坂世代の甲子園はまともに見られなかった。自分がズタボロになった記憶があるから、あの年のドラフトは、松坂投手はどこにいくんだろうって印象に残っています。
後藤 98年ですね。それからドラフトはチェックしていた?
クロマツ その後は野球から離れたのでぽっかり空いています。次に印象に残っているのは大谷翔平投手じゃないですかね。あのドラフトがなかったら、今のような活躍はないと考えれば印象的です。
中岡 あの頃の日本ハムのドラフトって格好いい。いくな~って。
クロマツ 日本ハムは上手ですよね。
後藤 駆け引きも魅力のひとつです。
クロマツ 「ドラフトキング」って、意外とドラフトを描いていない。今は平等だし、もの凄くクリーンだから。逆指名があった頃の水面下の話が面白い。今は運の要素がかなり強いし、漫画にするのが難しい。「カイジ」のように、どうやって引くんだとなれば別ですが。
後藤 中岡さんはバラエティーの「高校野球芸人」にも出ていますが、元々はホッケーですよね。
中岡 小学校の頃から野球がしたかったが、僕は柔道でした。父が柔道の指導をしていて、少年野球には行けなかった。中学校に入って野球をしようと思ったが、小学校からやっていないと出遅れた感があるから。うちの中学はホッケーで3つ上の先輩が日本一になったらしいので、それならホッケーをしようと。そこから野球は見る専門です。
後藤 これまでのドラフトで、松坂投手、大谷投手以外では。
クロマツ 名シーンは結構あって15年にヤクルト真中満監督が(高山俊選手の指名権獲得と)勘違いしたり。あれは今までになかったこと。僕は阪神ファンなので、最近は当たっているなと。佐藤輝明選手も近大から入団した。
中岡 僕も阪神ファンなので久々に佐藤輝選手は凄いのが来たなって。スケールが大きくワクワクしている。
後藤 ところで「ドラフトキング」を描くきっかけは。
クロマツ 「野球部に花束を」という野球部員の日常生活を描いたコメディー漫画を描いていたんです。それを読んでくださったのが「グランドジャンプ」の編集さんでした。その時は「野球あるある」を描いてほしいと言われたが、企画が通らなかったんです。草野球、大学野球、社会人野球、独立リーグって、ドラマが詰まっているのに地味すぎるといって企画が通らない。もったいないなと思った。だからスカウトの話にすれば全部描けると。それで、スカウトやろうって。最初は高校野球から入り、今は好きなことができているのでありがたいです。
後藤 第1話を描くまで相当な取材をしたと聞きました。
クロマツ そうですね。スカウトさんの話を聞かせてもらったりしました。昔の話が面白いですね。選手の実家で「留守番しておきます」と言って、勝手に電話に出たり。それが他球団からだったり。今の時代と違いますね。「どういう選手がいいと思いますか。どういう瞬間ですか」って必ず聞くんですが、一流の人ほど答えがフワッとしている。「たたずまい」とか「ユニホームの着こなし」とか。オーラとか、軸がしっかりしているなどなのかなという気がします。
後藤 なるほど。
クロマツ 広島のレジェンドスカウト、苑田聡彦さんは黒田博樹投手を見つけた時、遠くから走ってくる豆粒のような黒田投手を見て「あれはいける」と言ったそうです。伝説だろうと思ったが、それだけ輝いていたということです。勉強になります。
中岡 スカウトの人の話は普段こちらまで入ってこないので、この作品を読んで、あんなことやこんなことまでしているのかと分かりました。作品の中に、ドラフトで担当した選手を入団後もスカウトがケアするという話がありましたが、実際に元阪神の佐野仙好スカウトがYouTubeでそんな話をされていて、この漫画はめっちゃリアルだなって思いました。
クロマツ ははは。
中岡 読んでいて、この選手は西武の山川穂高選手やレッズの秋山翔吾選手に似ていると思ったりするのですが、選手をイメージされることもありますか。
クロマツ 多少ありますね。顔が好みなのかもしれないですね。
後藤 球界の中で聞いたことがあるぞという名前も出てきます。
クロマツ 日本ハムの新人で東京五輪にも出た伊藤大海(ひろみ)投手っていますよね。彼を「伊藤大海(オーシャン)って読んでしまう」とめっちゃ言われるんです。それは「ドラフトキング」で仲眞大海(オーシャン)というキャラクターを描いたからなんですが、オーシャンっていう呼び名は漫画の方が先なんですよ。伊藤選手にごめんなさいという気持ちもあるんですが。
中岡 真田丸(謙吾)はやりすぎでしょう(笑い)。
クロマツ あれはNHK大河ドラマ「真田丸」にハマっていたから「真田丸」なんです。これから、ちょっと(ネーミングは)しっかりします(笑い)。
後藤 倉大のスラッガー沖本拓也VS憂大・蔵田健介投手の場面に〝ヤキュガミ(野球の神様)〟のシーンがあります。現実、先生の頭の中にそんなシーンがあったんですか。
クロマツ 「ヤキュガミ」って以前の作品のタイトルなんです。僕が野球をやっていて思ったことが、逆立ちしても勝てない選手がいる。そういう選手がプロに行き、その中でも田中将大投手やイチローさんのように神がかった選手がいる。WBCの最後にイチローさんに打順が回ってきた時なんて、どう考えても神様がいるとしか思えなかった。それにフォーカスして描いたものが「ヤキュガミ」。皆ついてこれなくて打ち切りになったんですが。
中岡 ハハハ。
クロマツ 田中投手が24連勝するのか、しないのかとなってどうするのかと思ったら、星野仙一監督が最後にストッパーで使った。
中岡 星野監督じゃなかったらあんなことはできなかったって、出川哲朗さんとよく話をします。今年の大谷投手もそうですが、皆がコロナでしんどい時にドーンと出てきたり、漫画以上の選手が出てきたりしますね。
後藤 お忙しい中ですが、球場に足を運ばれているのですか。
クロマツ トライアウトを見た時に、地元で愛されている選手に声援が大きかったり。それは現地に行っていないと分からない。集英社の担当さんは凄く現場に行かせてくれるのでお世話になっています。職業柄、プロ野球の試合にも誘っていただけるので、1軍の試合は自分の楽しみに行きます。
後藤 それでは、作品の今後について聞かせてください。
クロマツ 全く考えていないですね。でも、横浜ベイゴールズはメンバーがそろって来たので、順位を上げていかないといけない。例えば、郷原を移籍させますか?パ・リーグとか海外とか。ベネズエラとか海外に取材に行けるかも。
後藤 なるほど。
クロマツ あとは、桂木康生がオールスターに出ていたりとか。僕の作品は大体、最後に今後のネタをチラ見せして終わるんですが、年表をつくるのが大変なんです。リアルじゃないと読者の皆さんが引いてしまうので、必死でつくっています。
後藤 中岡さんの注目キャラクターは。
中岡 仲眞のチームメート、照屋勉が気になります。野球脳があるというか、格好いい。成績は目立たないが強いチームにはああいう選手がいる。野球が大好きで、めっちゃ野球を知っている、コツコツやる選手はファンとしてはうれしい。
クロマツ 僕はあのタイプの選手が好きで、今回の五輪でいえば源田壮亮選手。代走でもいい仕事をしていた。解説者は言及しないが、格好いいし、めちゃくちゃ好きです。
中岡 (あの世代では)吉川尚輝選手、京田陽太選手、源田選手と遊撃に選手がそろっていた。源田選手は守備がうまいし、西武ファンは喜んでいましたね。照屋は源田選手をイメージしていると聞いて、ますますうれしくなりましたね。
後藤 それでは最後に、対談を終えて互いの印象をお願いします。
中岡 漫画家さんってもっと気難しいと思っていましたが、クロマツさんはファッションから何から気さくな方だなと。親しみやすい。気さくなアニキがここまで野球が好きで描いてくれるのは本当にうれしいです。
クロマツ テレビで拝見している中岡さんそのまま、表裏のない方です。優しくて、そして、やっぱり出川さんと一緒にいるんだなって思いました(笑い)。
中岡 そう。出川さんにも、この作品をススメますよ。
後藤 ありがとうございました。
▼ドラフトキングとは その年のドラフトで選ばれた選手の中のNO.1を「ドラフトキング」と呼ぶ。指名順位とは関係なし。スカウトの腕の見せどころ、それが下位指名だ。イチロー4位指名、岩隈5位指名、掛布6位指名…。数々の隠れた才能を見いだし1位指名を超えるスター「ドラフトキング」を生み出す。選手たちの人生に寄り添い、原石を見つけ出すプロ野球スカウト譚。凄腕スカウトマン郷原眼力(ごうはら・オーラ)と若手スカウト神木を中心に展開される。
◇クロマツテツロウ 1979年(昭54)11月17日生まれ、奈良県出身の41歳。奈良・西の京高時代に野球部所属。宝塚造形芸術大卒。第52回ヤングマガジンちばてつや賞準優秀新人賞、第53回ヤングマガジンちばてつや賞準優秀新人賞。第68小学館新人コミック大賞入選。「ドラフトキング」は18年の「グランドジャンプ」24号から連載中。「ヤキュガミ」、「野球部に花束を」など多くの野球漫画を手がける。
◇中岡 創一(なかおか・そういち)1977年(昭52)12月8日生まれ、奈良県出身の43歳。大阪府出身のコカドケンタロウとお笑いコンビ「ロッチ」結成。ワタナベエンターテインメント所属。特技はホッケー、柔道。趣味は野球、犬、ドライブ、ボクシング観戦、映画。1メートル62。
◇後藤 茂樹(ごとう・しげき)東京都出身の43歳。07年スポニチ入社。ヤンキース、エンゼルス、巨人、日本野球機構(NPB)、侍ジャパンなどを担当し、今月からスポーツ部野球担当デスク。
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