神戸大 悲願35年ぶりのリーグ制覇 就任8年目中井監督「感無量。何度も悔しい思いをしてきた」

[ 2021年10月6日 05:30 ]

35年ぶりの優勝を決め胴上げされる神戸大野球部・中井明則監督(撮影・後藤 正志)
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 神戸大が1986(昭和61)年春季以来35年、70季ぶり(中止の昨年春季を除く)の優勝を果たした。和歌山大が敗れ、勝ち点4で並んだが、勝率で上回った。開幕前、部員がコロナに大量感染する逆境をはねのけ、伝統の粘りと一丸で悲願を達成した。明治神宮大会出場をかけ、関西地区大学選手権(31日~11月3日・南港中央)に出場する。

 六甲の山なみに夕日が沈んだ午後5時すぎ、神戸・六甲台グラウンドに集まった神戸大は中井明則監督(51)を胴上げした。前日に全日程を終え、大阪・南港中央野球場で優勝――和歌山大の敗戦――を見届けた。相手を思って静かに去り、母校に帰って喜びを爆発させた。

 「感無量です」と中井監督は話した。就任8年目。「何度も悔しい思いをしてきた。和歌山大が初優勝した2017年から本気で優勝に狙いをすえた。思いが積み重なって花開いた」。優勝は35年ぶりで涙を流す古参OBの姿もあった。

 不安のシーズンだった。8月19日に部員17人が新型コロナウイルスに感染し秋季リーグ開幕2日前まで活動停止。ぶっつけ本番で臨んだ開幕の相手・奈良学園大がコロナ感染で棄権。不戦勝で勝ち点を得る幸運もあった。

 続く和歌山大に連敗したが、7月以来の実戦で感覚が戻った。以後「試合をしながら強くなり、一体感が出てきた」と6連勝。最後の阪南大には2試合とも終盤に逆転。4日は9回裏逆転サヨナラの劇的な勝利だった。

 エース・藤原涼太(3年=寝屋川)が5勝をあげた。高校3年春、根尾昂(中日)らの大阪桐蔭を9回2死まで4―3とリードする好投を演じた。攻撃は「長打狙いと積極走塁」を掲げ、伝統の粘り強さも受け継ぐ。

 グラウンドは他部と共用で全面使用は1日2時間。公園での素振りや動画のLINE交換など自主練習で補う。文武両道はもちろん、これもまた伝統だった。(内田 雅也)

 ◆神戸大野球部 前身の神戸高商創立翌年の1903(明治36)年創部。31(昭和6)年、旧・関西六大学連盟発足時から加盟。62年の統合、82年のリーグ再編で近畿学生連盟に所属。近畿学生連盟では過去8度優勝。定期戦として京大との神京戦、一橋大、大阪市立大との三商大戦がある。全日本大学選手権、明治神宮大会など全国大会への出場はない。唯一のプロ(NPB)として2009―10年、ヤクルト育成選手として在籍した塚本浩二投手がいる。

 《OB歓喜》神戸大野球部OBで最年長、元阪神球団社長の三好一彦さん(91)は母校の優勝に「それはおめでたい」と驚いた。かつては阪神の中古球を贈るなど支援していた。「10年ほど前、孫のいた大阪大との試合を見たのが最後」で、同期や年上OBも鬼籍に入り「縁遠くなっていた」。現役時代は二塁手で1番、4年時は主将を務めた。「関関同立の壁が厚く、2位が2度で優勝は手が届かなかった。祝意をお伝えしたい」と喜んだ。

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