【市川いずみの届け夏エール】智弁和歌山・黒木君が「裏方」として夢の甲子園マウンド

[ 2021年8月25日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権3回戦   智弁和歌山5ー3高松商 ( 2021年8月24日    甲子園 )

<智弁和歌山練習> 23日、甲子園のマウンドで投球練習を行う智弁和歌山・黒木記録員(撮影・大森 寛明)
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 記録員でベンチ入りした智弁和歌山の黒木隆成君は「一生の仲間」と聖地で最高のスタートを切りました。

 1メートル80、82キロの恵まれた体格で、紀之川中時代は和歌山市選抜入りした右腕。昨夏の新人戦では背番号11でしたが、冬に上腕骨を骨折。同級生の中西聖輝君や伊藤大稀君が140キロ超の球を投げるようになり「もう厳しいかな」と限界を感じるようになりました。

 野球はやりたい。でも居場所も欲しい。「どうしたらいいんやろ」。室内練習場で号泣した時、寄り添ってくれた伊藤君の「よう頑張った」の言葉でマネジャーへの転身を決意しました。水まき、ノックの補助……仕事を覚えるにつれ全体を見ることの難しさを感じました。「野球やりてーな」。仲間の姿がうらやましく映りましたが「ありがとう」の一言で裏方としての使命感が育てられました。

 23日の甲子園練習。中谷仁監督の指令を受け、小学時から夢見た「智辯」のユニホームでマウンドへ。「もう最高っす!」。約5分は夢の時間でした。明け方までデータ分析した高松商戦。11安打は「縁起のいい」シルバーのシャープペンシルで記しました。「裏方になってよかったとしか思えない」。やりがいが増す夏。寝不足には気を付けてね!

 ◇市川 いずみ 京都府出身のフリーアナウンサー。山口朝日放送時代に高校野球の実況で「ANNアナウンサー賞最優秀新人賞」を受賞。高校野球検定に合格し自宅に甲子園の土を飾るほど生粋の高校野球好き。

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