稲葉監督 侍Jの未来を森下、村上に託す「若い世代が継いで」

[ 2021年8月9日 05:30 ]

(左から)栗林、山本の前で決勝戦を振り返る森下
Photo By 代表撮影

 1次リーグから5連勝で公開競技だった84年ロサンゼルス以来37年ぶり、正式競技では初の金メダルを獲得した侍ジャパンは8日、都内でメダリスト会見を行い解散した。任期満了で勇退する稲葉篤紀監督(49)は次代の主砲候補に7日の米国との決勝で殊勲弾を放った村上宗隆内野手(21)を指名。投手も決勝の米国戦で先発を任せた森下暢仁投手(23)ら若手の躍進に期待した。

 金メダルを手にした激闘から一夜明けて臨んだ最後の会見。勇退する稲葉監督から強い願いが語られた。「ムネ(村上)には直接伝えたんですが…」と前置きすると、若侍への思いがほとばしった。

 「これからのジャパンはお前たちが引っ張っていくんだと。若い世代がこれからの侍ジャパンを継いでいく」

 村上は21歳。投手陣も若手の台頭が著しく、決勝で先発した森下は23歳で、ブルペンの切り札となった伊藤と栗林は新人だ。先発の柱だった山本も22歳。「この五輪で得たものをチームに持ち帰り、また次につなげる。この若い世代が、国際舞台で活躍することを願っています」と期待した。

 コロナ禍で先は見通せないが、次の国際大会は早ければ2年後の23年に実施されるWBC。五輪では24年のパリで再び野球競技が除外されるものの、28年のロサンゼルスでの復活を目指している。現在の中心世代は田中将、大野雄、坂本、柳田ら「88年組」だが、今後は今の若手たちが引っ張る必要がある。

 全試合8番だった村上は「今回は脇を固める役で中軸ではなかった。その役割の気持ちも分かったし、日の丸を背負って4番を打てる時が来たら、そんな気持ちも背負ってやっていきたい」とメッセージを受け止めた。森下も「球界を代表する投手になりたいとプロに入ってきた。まず広島を引っ張れる投手になりたい」と誓った。

 「最高の場所で最高の皆さんと野球がやれたことに感謝しています。(退任後も)野球界に貢献できるようにやっていきます」と稲葉監督。役目は果たした。若い息吹も感じた。侍の熱い魂は受け継がれ、歴史は続く。 (後藤 茂樹)

 《甲斐 出身大分に「勇気や元気を」》甲斐は「同じ大分出身の森下、源田とこういう舞台で野球ができたことはうれしいこと」と感慨深げ。米国との決勝戦では森下とバッテリーを組み、初戦のドミニカ共和国戦で同点スクイズを決めた際、生還したのは源田だった。大分出身者の金メダルは76年のモントリオール以来、実に45年ぶり。昨夏は豪雨で県内の河川が氾濫するなど水害に見舞われただけに「野球を通して勇気や元気を少しでも与えられればという思いだった」と力を込めた。

 《マー君&坂本に伊丹市民栄誉賞》田中将と坂本に出身地の兵庫県伊丹市から「伊丹市民栄誉賞」が贈られることになった。同市広報課の公式ツイッターが「本市出身で伊丹大使の田中将大選手と坂本勇人選手が見事、金メダルを獲得された功績を称え、市は栄えある“市民栄誉賞”を贈ることを決定しました」と発表。田中将は楽天を日本一に導いた13年に続き2度目の受賞となる。会見で田中将は「結束したからこその結果」と語り、坂本は「開催が決まってから僕の一つの夢だった。感無量」と笑顔だった。

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