【独占手記】阪神・近本 苦しんだシーズン序盤に、大きな支えとなった矢野監督の言葉と北條の激励

[ 2021年7月17日 07:00 ]

マイナビオールスターゲーム2021第1戦   全パ4-5全セ ( 2021年7月16日    メットライフD )

<全パ・全セ(1)>勝利し歓喜の近本(手前右)ら全セナイン(撮影・島崎忠彦)
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 虎の球宴男!阪神・近本光司外野手(26)が適時打を含む2安打を放ち、サイクル安打を達成した2年前から7打席連続安打をマーク。球宴新記録を打ち立てた。2年ぶりに開催された夢舞台に際し、本紙に独占手記を寄稿。シーズン序盤の不振時には矢野監督の言葉と、同僚・北條の激励に支えられて復調につなげたことも明かした。

 2年ぶりのオールスターに選出していただき、光栄です。2年前はたくさんの方々に見てもらい、サイクル安打を達成し、MVPも獲れました。印象や衝撃は自分の中でも大きかったですし、いい思い出になったと、つくづく思います。

 今年は去年できなかった分、できる喜びもかみしめてプレーさせていただきました。改めて今日、メットライフドームのグラウンドに立って、満員の中でやれていたことが、当たり前じゃなかったんだなとすごく感じました。

 僕にとっての『オールスター』とは、その試合を野球ファン皆さんが見てくれる特別なものです。普段は阪神ファンと対戦球団ファンの限られた人にしか見てもらえません。結果だけではなく取り組む姿勢などを見ていただくのも大事だと思って試合に臨みました。2年前から続けて7打席連続安打という新記録も達成できたみたいですね。特に意識はしていなかったですが、楽しくやって、来た球をどんどん振っていった結果だと思います。

 同点の9回1死二、三塁で迎えた打席はシーズンで感じるのとはちょっと違う緊張感がありました。打席に入る時に甲斐さんに「緊張しますね」と話をしたんですけど、それが申告敬遠になって、恥ずかしかったです。

 この場を借りて、一時的に離れているチームについても思いを書かせてもらいます。今年は序盤からチーム状況が良く、当たり前のことを、より当たり前にできていると感じています。結果だけではなく、チームの雰囲気づくりなども含め、個々の能力が上がってきているな、と手応えを感じて戦っています。

 ただ個人的には今年も4月まで結果に恵まれず、苦しみました。正直なぜ打てないのか分かりませんでした。状態が悪くないのに結果が出ない。去年は本当に状態が悪かったので修正点が分かったのですが、今年は違ったので、より苦しみました。心の中では“どうしたらいいのかな”というのが本音でした。

 そこで開幕2カード目、遠征先の広島のホテルで矢野監督に時間を取っていただきました。その際「最終的には良い数字になってくるからチカはチカらしく。今はチーム状況とかはいいから、しっかり自分のことを考えて、やりたいように思いきりやってくれ」と言っていただいて…。みんなが打っている時より、苦しんでいる時に自分が好機をつくっていけたらと思えるようになり、そこから調子も上がってきました。

 そしてもう一つ、僕の中で大きな支えとなったのは北條の存在でした。守備からベンチに帰ってきた時や試合が始まる時などに、すごくいい言葉をかけてくれるんです。今、振り返っても涙が出そうな気持ちになります。“打席に立ちたくない”とまで思った時にも北條がいい言葉をかけてくれて、頑張ろうと思えました。本当にありがたかったです。

 ここまでチーム一丸で戦った結果、首位にいます。きょうの球宴第2戦が終われば、五輪中断期間。その期間を利用し、改めて自分たちができること、求められる役割を考えた上で、リフレッシュして後半戦に臨みたいと思っています。16年ぶりのリーグ優勝、36年ぶりの日本一を勝ちとるんだ、という強い気持ちを持って、頑張っていきます。(阪神タイガース外野手)

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2021年7月17日のニュース