大谷は勤続疲労?球速低下に全米が日本がフル稼働不安視、最速153キロどまり

[ 2021年5月21日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス2―3インディアンス ( 2021年5月19日    アナハイム )

インディアンス戦に先発したエンゼルス・大谷(AP)
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 エンゼルスの大谷翔平投手(26)が19日(日本時間20日)、本拠地アナハイムでのインディアンス戦に「2番・投手」で出場し、4回2/3を投げ5安打2失点、5奪三振で今季2勝目はならなかった。チームも2-3で敗れた。降板後は右翼に回る「三刀流」で、打っては3打数1安打。7回の守備から交代した。チームで唯一、今季の全42試合に出場中。直球は最速95マイル(約153キロ)にとどまり、米メディアからはフル稼働による疲労を心配する声が相次いだ。

 球速が大型ビジョンに映るたび、球場内は不穏な空気に包まれた。今季初登板で100マイル(約161キロ)超を計測した大谷。初回から90マイル(約145キロ)前後の直球が続いた。ベンチでは右前腕を左手でもみほぐすしぐさを繰り返していた。

 直球の平均91・3マイル(約146・9キロ)は、今季平均から5・3マイル(約8・5キロ)も遅い。地元紙オレンジカウンティ・レジスターのジェフ・フレッチャー記者は「何が起こっているのか分からない」とツイート。ロサンゼルス・タイムズのジャック・ハリス記者も「球速の低下が心配だ」と、試合中に速報した。大谷の動向は、今や全米のスポーツファンの関心事だ。

 大谷は「真っすぐがいかないなという感じだった」と認めた一方、故障の可能性は「ないと思う。単純に体が動かなかった」と否定。初回2死から連打で失点したが、今季から本格的に使うカットボールを軸に立て直した。1―1の4回無死二塁のピンチでは、この日最速の95マイル(約153キロ)までギアを上げて後続を断った。

 「無理やり(球速を)出しにいく方法もあれば、今日みたいに打たせることにシフトすることもある」

 2―2の5回2死から四球を与えたところで72球で降板。もどかしそうに右翼へ回った。地区4位のエンゼルスは、チーム防御率が30球団最悪の5・22。早期交代は、首脳陣にも苦しい決断だった。

 18年10月の右肘じん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)から約2年7カ月の大谷。二刀流を続けながら全42試合に出場し、蓄積疲労は当然ある。「強く投げる強度が高くなれば、(右肘含め体全体に)張りが出てきたりとかというところ」と冷静に分析した。

 勝ち越されて迎えた6回には「一番、出塁できる可能性が高いものを選んだ」と三塁線にバント安打。6試合連続安打とした。しかし、直後の二盗は失敗し、チームも敗れた。

 14本塁打は依然として両リーグトップ。20日(日本時間21日)のツインズ戦のダブルヘッダーは打者で出場予定だが、ジョー・マドン監督は「明日以降の状態も確認しなければいけない」と慎重だ。シーズン完走へ、「米球界の宝」の確認作業を怠らない。(アナハイム・笹田幸嗣通信員)

 ▼横浜南共済病院整形外科スポーツ整形外科・山崎哲也部長 大谷選手は手術から既に2年半が経過しているし、その影響とは考えづらい。むしろ現状の好不調の波と、疲労。肘より体幹や股関節など、全身的な疲労がたまっているのでは、と思います。トミー・ジョン手術からの復帰で最も肘に影響が出るのが術後8~12カ月。完全復帰までは痛みや張りなどいろいろと出ますが、一度復帰すればあまり影響は出ないもの。今季、彼が投げる姿をテレビで何度か見ていますが、特に問題は感じない。やはり体調がベストではないのでは、と思います。

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