目覚めた「円月殺法」巨人・岡本10号!4年連続2桁弾 原監督「眠狂四郎みたいな形」

[ 2021年5月19日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人7-2広島 ( 2021年5月18日    東京D )

<巨・広>7回2死一塁、右越えに2ランを放つ岡本和(投手・コルニエル)(撮影・吉田 剛)
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 主役の一撃で勝負を決めた。巨人・岡本和真内野手(24)が18日、広島戦で2試合連発となる10号ソロ。1点リードの7回、貴重な追加点となる右越え2ランを放った。岡本和はこれで4年連続の2桁本塁打に到達。原辰徳監督(62)は、その活躍を、この日訃報が発表された田村正和さんの代表作の時代劇「眠狂四郎」になぞらえた。

 くしくも「眠狂四郎」の名が原監督の口から出た。試合直後。まだ田村正和さんの訃報を知る前だった。岡本和の姿が偶然、伝説の剣を操る孤高の剣豪と重なったのである。

 「今日は少し眠ってたのかなっていう状況があったんですけど、あそこで完全に、眠狂四郎みたいな形でね」

 第1、2打席は大瀬良の初球に凡退。眠っているかのようだった。寡黙だが、ベンチに戻る顔からは内に秘めたる感情が見えた。眠狂四郎は複雑な生い立ちを持ち、江戸で自らの出生や運命に立ち向かった。岡本和は常勝軍団の4番打者にしか知り得ぬ重圧に耐え忍ぶ。かつては原監督も務め、「聖域」と称した役目を、今季は開幕から担い続ける。

 必殺技であった「円月殺法」か――。膠着(こうちゃく)した展開を一振りで決め、エンドロールに向かった。7回の10号2ランは逆方向、右翼への一発だった。コルニエルの外角球に逆らわず、腕を伸ばして振り抜く。この逆方向への打球が増えたことが、過去3年連続で30本塁打以上した要因。岡本和にとっての必殺技である。刀で美しい円を描く円月殺法とは異なり、弾丸のような軌道で相手を仕留めた。

 4年連続で2桁本塁打に到達し34発ペース。「一本、一本の積み重ねですね。チームの勝ちにつながる本塁打を打てるようにまた頑張ります」。多くは語らない。時代劇のヒーローが刀で魅了したように、バット一本で語る。この日は2年ぶりの地方開催となる長崎で試合を予定していたが、新型コロナ禍で開催球場が変更。テレビスターのように、画面越しで輝いてみせた。

 原監督は、田村正和さんの訃報を「眠狂四郎」の発言を受けた報道陣から伝え聞いた。一瞬驚きの表情を見せた指揮官は「大好きな俳優さんだった」としのんだ。(神田 佑)

 ≪2桁本塁打5月到達は初≫岡本和(巨)が今季10号本塁打。2桁本塁打は18年から4年連続で42試合目での到達は昨年の25試合目に次ぐ2番目のスピード。5月中の到達は初めてとなった。岡本和は3、4月30試合で5本塁打だったが、今月は12試合で5本塁打。本塁打率(打数÷本塁打)も22.2から9.2に急上昇。本塁打王争いもトップの村上(ヤ)と2本差の2位タイに詰め寄っている。

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