担当記者が迫る エンゼルス大谷翔平が今季から使う「率寄りのバット」とは

[ 2021年4月19日 09:00 ]

日本人メジャー最速通算50号となる本塁打を放ったエンゼルス・大谷(AP)
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 エンゼルスの大谷が今季からバーチ材の新バットを使用している。衝撃に強く、最も硬いメープル材に近い打感が特徴で、しなりも持ち合わせている。これまではしなりがより大きく、長くボールを押し込むことができるアオダモ材のバットを使っていただけに、打撃感覚は大きく異なるだろう。

 4月9日。メジャー通算50本塁打目の今季3号を放ったブルージェイズ戦後のオンライン会見。大谷はバーチ材の新バットについて「去年の方がよりトップに重さがある感じのイメージのバット。今年はどちらかというと均等(のバランス)」と説明している。

 均等バランス(ミドルバランス)のバットは操作性が高い一方、トップバランスのバットのように重みを利用して速く振ることができないため、打球飛距離は劣る傾向にある。大谷も「飛距離はその分、出にくいのかなっていうのはあります」と認めた一方で、「その分、フィジカルも強くなっています」とも言った。よほどの自信だ。1メートル93、102キロの体格に大きな変動はない。これまでに手術を受けた右肘や左膝がリハビリによって以前よりさらに強化され、力の伝え方もより効率良くなったことが大きいのだろう。

 こうも言った。「どんなバットでも芯付近に当たれば本塁打にできるのではないかなという自信はあるので。その分、“率寄りのバット”になっているのかなと思います」。“率寄りのバット”とは、すなわち“打率重視のバット”だ。長さは33・5インチ(85・09センチ)、重さは905グラム前後で大きく変わらないが、バット全体の形状を芯部分からロゴマーク付近まで太くした。芯の範囲を広くするイメージだ。ただ、4月4日のホワイトソックス戦で放ったメジャー通算49号は、公式戦自己最長の打球飛距離451フィート(約137・5メートル)。12日のロイヤルズ戦で放った二塁打は同自己最速の打球速度119マイル(約191・5マイル)をマークした。今季から大リーグは低反発球を導入している中、“打率重視のバット”で自己記録を更新し続けているから驚きだ。

 最後に。今季の大谷は明らかに笑顔が多い。味方の活躍に手を叩いて喜び、叫び、自らも塁に出れば大きなガッツポーズを繰り出す。体に痛みや違和感がなく、全力でプレーできている楽しさが体全体から溢れている。古巣・日本ハムの栗山監督も「プロで初めて体を気にしないでやれる年。伝説が始まる年だと思っている」と話しているという。

 右手中指のマメをつぶした投手としての復帰も間近だ。投打でどんなインパクトを残すのか。伝説に期待したい。(記者コラム・柳原 直之)

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2021年4月19日のニュース