西武・辻監督 一人早朝ランニング「今年はさみしい」

[ 2021年2月2日 05:30 ]

早朝ランニングをする西武・辻監督(球団提供)
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 【新様式キャンプリポート最前線】新型コロナウイルスの感染拡大を受け、無観客でスタートした12球団の春季キャンプ。例年のようなファンの歓声は消え、静かな球春を迎えた。3・26の開幕に向け、感染対策を徹底しながら調整を進める選手たち。異例ずくめのキャンプをスポニチ取材班がリレー形式でリポートする。

 西武・辻監督がたった一人で急勾配の坂を駆け上がってくる。その姿を遠くから見つめるだけだった。宿舎から南郷スタジアムまでの約6キロの早朝ランニング。昨年までは報道陣も同行した。筋肉痛に苦しめられるが、厳しい練習をこなす選手の気持ちに少しでも近づけたら…と、息を切らしながら必死についていくのは恒例の光景だった。「今年はさみしいなあ」。辻監督はそう言って宿舎を出たそうだ。“そうだ”とは接触ができないため、球団広報から伝え聞いたからだ。

 コロナ禍による「厳戒キャンプ」が始まった。記者も1週間に1度義務づけられているPCR検査キットをポストに投函(とうかん)し、球場へ。歓迎セレモニーも簡素化され、崎田恭平日南市長はスタンドからあいさつ。毎年、選手の心を癒やしていた子供たちの鼓笛隊も姿を見せなかった。キャンプ地では、ぶら下がり取材で選手と野球の話や雑談を交わして親交を深めていくが、今年はスタンドとグラウンド。その距離が近くて遠く、なんとも言えない気持ちになった。

 選手は当然、外出禁止。ホテルのビュッフェでも手袋を着用した源田は「南郷町にもおいしいお店がたくさんありますが…」と名物の地鶏の炭火焼き、カツオを思い浮かべながら「今年は我慢して感染対策を行い、キャンプを終えることができたら」と話した。外野後方の防護ネットの隙間からファン数人が練習をのぞいていた。観戦に来られないファンを思えば、毎晩コンビニ弁当という「限界キャンプ」でも我慢するしかない。(西武担当・花里 雄太)

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2021年2月2日のニュース