「2・1」の衝撃 阪神・佐藤輝が超弾道披露 矢野監督「あれだけ高さのある打球はプロでもそんなに…」

[ 2021年2月2日 05:30 ]

矢野監督の前でサク越えを連発した阪神・佐藤輝(撮影・大森 寛明)
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 「かりゆしホテルズボールパーク宜野座」でキャンプインした阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(21=近大)がスラッガーとしての片りんを披露。89スイング中柵越えは9発にとどまったが、左打席から放たれる弾道の高さを矢野燿大監督(52)から絶賛された。

 やはり、佐藤輝はただ者ではない。キャンプ初日のフリー打撃。89スイングのうち柵越えは9発にとどまったが、矢野監督の着眼点は違った。

 「あれだけの高さのある打球ってね。あんまりプロの中でもそんなに(飛ばせる選手が)多くない高さで飛ばせる、というのはすごく大きな魅力。振る力というのはプロの中で十二分に通用していくものがあるなというのは初日だけでも確認できた」

 その弾道に魅せられた。滞空時間は長く、打球はなかなか落ちてこない。重力にあらがうかのような白球は、まさに、希代のスラッガーがなせる業だ。この日の最長はバックスクリーン中間付近に直撃する推定135メートル弾。逆方向である左翼席への2発を含む長打力に「ポテンシャルというのは誰もが今日見てもらえれば分かってもらえたんじゃないかと。やっぱり見ていて楽しみな選手だなというふうに見えました」と感嘆の言葉が並んだ。

 ただ、本当の意味での凄さを知るのは、厳しい自己評価にある。「まだ全然完璧じゃないですけど、実戦も早く始まると思うので。しっかり調整してやっていきたいと思います」。言葉どおり、詰まった打球も散見された。初のキャンプイン。余分な緊張や力みがなくなれば、さらなる上昇カーブを描くのは間違いない。

 シートノックでは左翼と三塁に就いた。一塁用を含め3種類のグラブを持ち込んだのは、意気込みの表れだ。「どこを任されるかまだ分からないんで。どこで行くぞといわれても準備できているようにしっかりやっていきたい」。特守では筒井外野守備走塁兼分析担当コーチから、ゴロ捕球後の送球動作について密着指導を受け「どんどん吸収してうまくなっていきたい」と力を込めた。

 午前8時半の早出練習から始まり、練習を終えたのは午後6時。「(身も心も)全部疲れました。まだ夜間練習も残っているんですけど」と苦笑いしたが、すぐに気を引き締めた。「これがキャンプだと思うのでしっかりついていけるように。やっていけないと生き残れない世界だと思うので」。競争を勝ち抜く覚悟は、もうできている。(阪井  日向)

 【ライバル球団スカウトの声】

 ▼中日金子丈スコアラー 大学の試合でも見ているけど、実際に見てすごいスイング。逆方向にも簡単に入るし、モノとしてはすごい。プロとアマとでは打撃投手でも違うが、そんな違いを感じさせないし、しっかり振れていた。

 ▼DeNA有働克也スコアラー まだ初日なんでなんとも言えないですが、すごいですね。天性のものがあると思います。飛距離はすごいです。いいパワーしてます。選球眼も良さそうですし、あとは実戦でどうかっていうところ。

 【近年の阪神ドラフト1位野手キャンプ初日】

 ★04年 鳥谷 敬 
 ノックもフリー打撃も走塁練習もレギュラーを争う藤本と同組。居残り特打では153スイングで安打性63本、柵越え6発。「打撃でアピールしたいので、多く打てて良かった。逆(左翼)方向を意識しました」

  ★16年 高山 俊 
 右手有鉤(ゆうこう)骨骨折のリハビリのため、安芸で別メニュー調整。掛布2軍監督から直接指導を受けた直後のマシン打撃は明らかに打撃の勢いや角度が変わり「(指導は)分かりやすいです。良いアドバイスをいただいた」。

  ★17年 大山 悠輔 
 フリー打撃と特打の計162スイングで柵越え12本。初めて直接指導の金本監督から「いい打者の雰囲気」と合格点にも「雰囲気だけでおわらない選手になりたい」と気を引き締めた。

 ▼近大・田中秀昌監督 (映像視聴し)足の上げ方が少し低くなり、左脇も絞りながら自然体で打っているように見える。確実な打球を打てるように意識しているのだと思う。逆方向に本塁打が打てるのは、ポイントが近く、体が開いていない証拠。フルスイングは変わっていないのでホッとしました。
 

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