安部井寛氏“異例”のNPB入り 昨季まで楽天チーム統括本部長 実務の充実化期待

[ 2021年1月20日 05:30 ]

安部井寛氏
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 昨季まで楽天のチーム統括本部長を務めていた安部井寛氏(46)が日本野球機構(NPB)入りすることが19日、決まった。この日の理事会で承認された。チーム編成の要職に就いていた幹部が所属球団を退団してNPB入りするという異例の人事で、同氏は2月1日付けで野球運営本部本部長補佐として着任。選手会やMLBとの交渉、野球協約問題などで実務のエキスパートとして手腕を振るう。

 安部井氏は阪神、ヤクルト、大リーグ・ホワイトソックスの通訳やコンディショニングコーチを経て04年から楽天創設に参画。チーム編成の幹部として野村克也監督、星野仙一監督に仕え、球団初の日本一となった13年はチーム統括本部本部長補佐として外国人選手の獲得に携わり「チーム戦略室」と現場をつなぐ重要な役割を担った。昨季はチーム強化、コンディショニング分野も担当。さらに連盟担当としてもドラフト・協約改訂委員会委員長、選手関係委員会副委員長も務め、コロナ禍の中で球界としての対応、選手会との調整などに尽力した。

 現在、野球協約の問題や選手会との調整、MLBとの交渉などは法規室の伊藤修久室長(57)が担当している。安部井氏はチーム運営だけでなく球界の仕組みに詳しい上、英語が堪能でMLBにも精通。今後は同氏のNPB入りで各分野の間口を広げ、実務のより充実化を図る。

 過去に阪神球団本部長だった沼沢正二氏が出向の形で12年にNPB事務局次長に就いた例はあるが、当時は体制強化の意味合いが強かった。今回の安部井氏のように球団を退団しての“完全移籍”は異例中の異例。コロナ禍で2年目のシーズンを迎える今年、プロ野球全体の運営がより一層難しくなる中、広く実務に携わる安部井氏の手腕が期待される。

 ◆安部井 寛(あべい・ひろし) 1974年(昭49)6月22日生まれ、東京都出身の46歳。都鷺宮から米ワシントン州ビッグベンドカレッジ、ワシントン州立大へ進み、トレーナーの資格を学んだ。帰国後、00年の阪神通訳を皮切りにヤクルトでコンディショニングコーチ、大リーグ・ホワイトソックスで通訳を務め、04年から楽天創設に参画して1軍マネジャー、国際担当、スカウト部部長などを歴任。14年からチーム統括本部長を務める。

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2021年1月20日のニュース