巨人・桑田コーチ“初仕事” 伝えていくスポーツ科学「フル活用」する最先端の“頭球術”

[ 2021年1月15日 05:30 ]

巨人新人合同自主トレを宮本投手チーフコーチ(右)と見守る桑田投手チーフコーチ補佐(撮影・森沢裕)
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 巨人・桑田真澄投手チーフコーチ補佐(52)が14日、川崎市のジャイアンツ球場で始まった新人合同自主トレを視察し「初仕事」に臨んだ。15年ぶりに巨人に復帰した通算173勝の元エースは、原辰徳監督(62)ら首脳陣と練習を見守った後、コーチ会議にも参加。2月1日のキャンプインから1軍とともに2、3軍を巡回指導し、最先端の指導方法で選手育成にあたる。

 85年ドラフト1位で入団した、セピア色の思い出がよみがえる。「巨人の桑田」として古巣ファーム施設を訪れたのは、06年9月24日2軍戦に巨人ラスト登板を飾って以来15年ぶり。「久しぶりに中に入ってくると勝負の世界の緊張感を感じました」とかみしめた。

 新入団19人の練習を原監督らと見守りながら、桑田投手チーフコーチ補佐は当時の自分を投影する。「僕自身もそうでしたように“期待と不安”。この2つが非常に大きかったんじゃないかと思います」。走り込みや投げ込みなど練習量がモノをいうと考えられた時代のど真ん中でプレーした。「(今は)たくさん走って、たくさん投げるという時代ではない」と、真っ向から対立する理論を構築した。

 「野球はうまくならないと楽しめない。早くうまくなって野球を楽しんで1軍で活躍してもらいたい」。引退後は、早大大学院や東大大学院で動作解析などを学んだ。「分からなかったことがスポーツ科学の発展で解明されてきた。フルに活用したい」と現代の価値観に即す最先端の指導こそ、桑田流だ。

 2月1日からのキャンプは2、3軍も巡回して指導する予定。ドラフト2位・山崎伊(東海大)は昨年6月に右肘のじん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受け、今季はリハビリに専念する。桑田コーチは同じ手術を95年に経験し、2年後に東京ドームのプレートに右肘を置いた。

 執刀したジョーブ医師から「手術自体はすぐにできるが、復帰までの時間が長い」と助言されていた。ジャイアンツ球場の外野をランニングし、その芝が剥げ上がった部分は「桑田ロード」と呼ばれた。「体力よりも、精神的な苦痛が凄く大きい。その精神的なサポートを僕ができたら」と復活勝利を遂げた経験を伝える。

 ドラフト1位・平内(亜大)は「非常に体も仕上がっている。強いボールを投げていた」と評価。開幕ローテーションとして期待する一方で、2~3年かけた土台づくりを求める。22年間活躍した自身同様、「一年でも長く活躍してもらいたい」という思いからだ。

 桑田イズムを浸透させ、1~3軍まで底上げを図る。現役時代は自身を高め抜いた。「目標は日本一になること。力になりたい」。指導者として一歩を踏み出し、支配下30選手、育成15選手の全45投手を強化する。(神田 佑)

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2021年1月15日のニュース