阪神ドラ1・佐藤輝 片岡篤史氏が打撃分析 長距離打者共通の「ぶれない軸」高評価

[ 2020年12月12日 12:16 ]

近大・佐藤輝明
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 阪神ドラフト1位・佐藤輝明内野手(21=近大)のプレーを阪神の背番号8の先輩であり、同じ関西学生野球リーグ出身でもある本紙評論家・片岡篤史氏(51)が分析した。通算14本塁打で新リーグ記録(82年創設)を更新した打撃について「ぶれない軸」を高評価し、左肘の使い方に伸びしろも見いだした。

(取材・構成=惟任 貴信)

 片岡氏は佐藤輝の打撃写真を一見すると、即座に長所を挙げた。長距離打者に共通する「ぶれない軸」だ。

 片岡氏 佐藤輝には長距離打者に共通する「軸がぶれない」という長所がある。まず(1)の構えは自然体で理想的だ。(2)、(3)へと体重移動して踏み出していくとき、バットのヘッドが少し投手よりに入り過ぎる感はあるが、(3)も理想的なトップの位置だ。よく言う「割れ」ができているし、背番号も投手方向に向いていない。このときに背番号が投手側に向く打者は、体が開きやすくなり、好不調の波が激しくなる。

 構えから体重移動までは「非常にスムーズ」と分析。その上でインパクトに目を移した。

 片岡氏 (8)のインパクトの瞬間、いったん前に行っていた頭が、後ろに戻っている。彼はブライス・ハーパー(フィリーズ)を参考にしていると聞いたことがあるが、それを意識しているのかもしれない。打った後の(9)、(10)もソフトバンク・柳田のように軸足の膝の上に頭がある感じで、軸がぶれていない。だからボールを遠くに飛ばせるし、逆方向にも強い打球を飛ばせる。
 日米を代表する長距離打者と共通する「ぶれない軸」に長打力の源を見いだした。その上で、気になる点も指摘。一つ目は「振り上げ気味」な点だ。

 片岡氏 全体的に振り上げ気味なので、そこが気になる。(8)以降のように打ってから上がるのはいいが、打つ前から振り上げに行くのはよくない。ただこれは今後、修正できるハッキリした課題だ。

 加えて「左肘」の使い方にも着目した。

 片岡氏 フォームでは(5)の左肘の位置が気になる。ちょっと下に落ちすぎている。いったん下げてから振り上げている。これが左の胸の前を通って入ってくるようになると、もっとバットに力を伝えることができる。ヘッドを立てながらインサイドからバットを出すことができるようになるので、スイングスピードの向上にもつながる。ミート確率も上がるはずだ。

 技術面について一通りの分析を終え、最後にプロ入り後に直面するであろう課題を挙げるとともに、大きな期待も寄せた。

 片岡氏 プロではインコースの速球と、落ちる変化球への対応が必要となる。その対応力、修正力が彼の成否の鍵を握るだろう。持っている才能は素晴らしいし、遠くに飛ばす力も想像以上だ。なによりもまず練習する体力があるというのは、伸びる可能性を持っているということ。すでにスイングスピードはプロの1軍レベルに達している。将来的に、40本塁打を目標に持てるくらいのスケールの大きさを感じる。

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2020年12月12日のニュース